我が家の朝支度


「ちょっ、翼起こしてよー!!」
「起こしたよバカ!」
朝から、我が家は騒がしい。
まず、末の弟妹である夏帆と翼が、登校時間ギリギリに二階から降りてくる。朝ご飯はきっちり食べていくところが嬉しい。
「いただきます。あ、おはよう克朗兄ちゃん」
「おはよ」
「ああ、おはよう。夏帆、翼」
並んで慌ただしく朝食をとる二人の前には、すでに朝食を食べ終わった竜也がいる。
「ごちそうさま。行ってくる」
カバンを持って、弁当も忘れずにイスから立ち上がる。
竜也の正面に座っていた夏帆が急にむせた。
「え、竜也早い!」
「夏帆が遅いんだろ」
受験生の竜也は、それでも遅くまで勉強しているから最近になって登校時間が遅くなった。去年は朝練だなんだと言ってこの時間はとっくに家にいなかったな。
「夏帆、あと三秒ね」
「ちょ、バカっ!兄ちゃん、行ってきます!」
「ああ、行ってらっしゃい」
翼を追いかけて、夏帆が慌ただしく玄関に向かう。
これから食器を洗って出勤しなければならないが、その前に一人、起こしてこなければいけない。
階段をあがり、ひとつだけ閉まったままのドアを開けた。
「亮、みんなもう行ったぞ。早く朝食を食べてくれ」
我が家の長子にして、稼ぎ手の一人でもある亮を起こして、俺の日課は終了だ。
亮はもそもそと布団から起き上がり、しばらく黙っていたが、ベッドから出て眠そうにカーテンを開けた。
これで出勤できると一階で身支度をしていると電話が鳴る。
「はい。……夏帆?どうかし、…ああ、忘れ物?」
学校についてから今日提出のプリントを忘れたことに気付くなんて、相変わらず夏帆らしい。
「わかった、昼までに英士に頼んでおく。ああ、じゃ」
時計を見ると、もうすぐ八時半だった。
また二階にあがり、今度は亮じゃなくて、昼までは講義がないという英士に声をかける。
「英士、昼までに夏帆に忘れ物届けてくれないか?」
「………ああ、夏帆?わかった」
ヘッドホンを外して返事をしたのを確認して、今度こそ家を出る。
「あ、」
今朝の折り込みチラシを見ておくのを忘れていた。
「今夜はカレーにするか」
我が家には激辛派と中辛派がいるから大変だな。


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