明日晴れたら

本日は晴天なり。






その日の午後は、とてもいい天気で(まさに快晴!)、芝の茂る木陰に、クラウドとアイリスはいた。
二人は服に匂いや色がうつることなど気にせず、青い芝生の上に悠々と寝転がっていた。
「クラウド」
空を見上げながらアイリスはクラウドに話しかけた。
「なんだ?」
「今日は良い天気だな」
「そうだな」
二人は、寝転がったまま会話を続ける。
木漏れ日に目を細めながら、アイリスはふと思いついたように、クラウドのほうを見て言った。
「クラウドって、名前と対照的だよな」
「………?」
どういう意味かわからず、クエスチョンマークをうかべるクラウドに、アイリスはさりげない笑顔を残して言った。
「名前は『曇天』なのに、瞳はこんな晴れた空みたいな蒼、髪は陽の光みたいに輝くさらさらの金髪。おまけに肌は白くて綺麗な、お人形さんだ」
「…あまりというか、うれしくないが」
「そうか? 人の好意は、素直に受け取れ」
アイリスはおかしそうに笑っていた。
「それをいったら、アイリスも綺麗な髪だろう」
「私のは白髪だから、クラウドみたいに綺麗に映えないよ」
クラウドは、手を伸ばしてアイリスの髪に触れながら言った。
「俺は、アイリスの髪が好きだけどな」
「…………ありがとう」
なんだか照れくさくなって、頬を染めてアイリスは言った。
寝転がったまま向き合う姿勢でいるのもなんなので、二人はまた、空を見上げた。
「なあ、クラウド」
唐突に、アイリスがクラウドに話しかけた。
「なんだ?」
「明日晴れたら、」
「晴れたら?」
「晴れたら……」
そこで少し言いよどみ、さくっと音を立てて、芝から起き上がった。
アイリスは芝の上に立ち、クラウドのほうを向いて、逆光なのによく見える、綺麗な笑顔をしていった。



「明日晴れたら、みんなでピクニックに来ようか」



「…そうだな」
クラウドは少し意外そうに、少し嬉しそうに目を細めて言った。



△Fragmentary Stories TOP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -