▼春 を 恋 う る 生 温 い 瘴 気

なんやかんやで私はグレた。いや、ちがうよ別に夜遊びしてるわけじゃないし危ない人達とガヤガヤとかでもないよ!まず、夜外に出たら瞬殺されるからね!つい最近、潮江もんなんたらとひと悶着起こしてから監視される時間が減った気がするけどギンギラギンに目をひからしてる立花がいるからさ!あのクソ野郎ほんとに私のこと好きだな。ストーカーされてる気分だわ。立花の場合隠れて監視ではなく堂々と私に言っちゃうあたり清々しいけど。危ない人とトモダチも寧ろ危ない人達に保護的と言う名の監禁されてるしね。あの狭い部屋から出たとして学園から出ちゃいけないんじゃ私としたら変わんないわ!寧ろ学園内の方がいろんな奴らと会うから狭い部屋の方がよかった。働かなくてもよかったし。そして待てど待てども帰れない。毎日毎日の重いプレッシャー。ことある事に説教かましてくる土井先生と事務の世話係吉野先生、ゆらりゆらりと暇してる私に話しかけてくる戸部先生など下手くそな演技をかましてきやがる。忍者がそんなあからさまにバレるような愛想笑いでいいんですか!私を見て学んでください!このひまわりのような優しい笑を瞬時につくれるようにがんばってください応援してます。簡単に言えば私がどう頑張っても元の世界に帰れそうにないので軽く考えることにしたのだ。そう、ちょこーっと気楽に仕事をするようになっただけ!


「名字さん。あなたはもう別の仕事をしてください。」

「はい。具体的に何を?」


それぞれの学年とクラスに配布する宿題を無言で小松田君と仕分けをしまして。あー、終わった終わったと一息ついたところ小松田君のドジっ子が発揮されちゃって見事に立ち上がった彼に散らばされた。小松田君は最初フレンドリーに接してくれたのに潮江なんちゃらとひと悶着あり不機嫌な顔のわたしを見てから笑ってくれなくなった。ごめんさないほんとにちょっと素がでちゃっただけなんです。それから何故だか私に怯える彼は泣きそうになりながら必死に謝ってくるし、力入れすぎて紙をぐしゃぐしゃにしてるしで見ていられず私が全て引き受けることにしたのだ。きっと私のことだけじゃなくて吉野先生に怒られるのも怖いんだろうな!うん!そうだと思いたい。


「まず反省するとこから行ってください」

「悔やみたい事は生きてきた中で一杯あるのですがどれから反省したほうがいいですかね?」

「名字さん!あなたってひ.....ごほんっ!私は用があるのでもう行きます!仕事は小松田君に聞いてください。」

「はーい」


私に怒りながらも平然を装ってお話になられた吉野先生はバダンっと音が鳴るくらい強く襖を閉めていかれた。小松田君はガクブルになりながら私に謝ってきたが嬉しくもなんともない。だいじょうぶですよって頭を下げる彼に近づけば思いっきり距離とられるしめそめそしやがって一発殴ったろうか!と拳を握り締めたが抑えた。彼にも事情があるはずだ。かれこれ1ヶ月一緒に仕事をしたくらいの私に心を開いてくれるわけないだろ。そうだよ落ち着け名前!小松田君は極度の人見知りなのよ!


「小松田君あの、できればお顔を上げて私に仕事を言いつけてくれるとありがたいのですが」

「ごめんなさい!そそそそんな!ごめんなさい!僕なんかが天女様に命令なんてできませんっごめんなさい!」


いや、命令はしなくていいよ!次の仕事言えっていってんだよ!ごめんなさいって口癖なの!?さっき何回言った?謝ればいいと思ってる?私そーゆうのよくないと思うよ!ごめんなさいってね気持ち入ってるかどうかなんて相手は直ぐにわかるんだからね。凄く今、どうでもいい話なんだけどさ。


「あの小松田君。私がゆうのもあれだけど僕なんかって言うのやめた方がいいよ。小松田君は皆に好かれてるし信頼だってされてるんだから凄いんだよ立派なんだよだからそんな卑下することないんだよ。逆に私を見てよ、ほら、誰にも好かれてないじゃん?寧ろ殺意向けられてんじゃん?いつでも切り捨て可能な人材じゃん?この紙みたいに失敗したり使い終わったらぽいできる存在でしょ。そうです私みたいなのを私なんかと呼ぶんです。」

「....あの、そんなことないと思いますよ?」

「疑問系じゃないか。いやいやいいんだよ小松田君。気休めだよそれは。実際に君だって私を邪魔だと思っているんでしょう。そこの屋根裏で私を見張っている君だって私に消えてもらいたいんだろう。でも死ぬわけには行かないんだよ。この世界で私が死んだら満足する人や喜ぶ人間がいても元の世界ではこんな私の死を悲しんでくれる人達がいるから。だから私は這いつくばってでも生きて帰るのさ。その為にはまず衣食住だろ扱いがどうであれば手掛かりがあるのならそれに縋るさ。あ、出ていけと言われれば直ぐに出ていくよ。なせばなるんだよ世の中。ね?小松田君、君はこんな私のどこに劣るというんだっええええ!?」


何故か小松田君に抱きつかれた。苦しい!ひょろっこいと思ったら意外にガタイよかった!がんばって小松田君の肩から顔を出して酸素を取り入れる。てか、なんで小松田君泣いてるの!?今の話の何処にそんな要素があったんだ?小松田君から仕事を言い渡してめらうための力説だったのに逆効果なの?このまま私を絞め殺すつもりなのかこいつ!生きたいって強調しすぎたかな!?すいませんもう一度言わせてくださいワンモアプリーズ!!


「そんなこと笑って言わないでください!!」

「君達私の笑顔にケチつけすぎじゃないのか?なに?どこらへんが気に入らないの?ちょっと教えてよお姉さん直してみるから」

「そーゆうことじゃないです!確かに名前さんの笑は安心できます。僕は天女が怖くて怖くてしょうがなかったけど名前さんの笑顔には何度か元気をもらえました!名前さんは僕に酷いことなんか言わないのにでも怖くて、ごめんなさい」

「謝らないでよ小松田君。わたし小松田君に謝られるの苦手だ。なんかどうしたらいいかわかんないんだもの」

「それでも名前さんは僕に普通に接してくれましたね。此処に来た天女は僕を嫌うんです。仕事をやらないのでそれを注意しただけで僕は悪者になって、仕事を頼んだら意地悪だって言われて真面目なのは僕じゃないらしいです。僕は失敗ばかりするので小松田秀作。違う、僕は小松田秀作で仕事だってちょっとうまくいかないだけでこの学園の事務員なんです」


そんな過去があったんだ。へー。それと私に抱きつくのとなんか関係あるのかな?感情高ぶっちゃったのかな?ん?天女それにしても嫌なヤツだなあ。こりゃ、嫌がられますよまったく。お前らの所為で私だいぶひどい扱いされてるからなちくしょー。


「小松田君、あのそろそろ離れません?」

「いやです!」

「私に近づくと火傷するぜ?」

「かまいません!だから、名前さんも泣いてください。ほんとは泣きたいんでしょう?堪えないでください。名前さんも、もう自分なんかって言わないでくださいね。僕は名前さんが死んだら悲しむ人間です!」


すっごい優しい子なんだけど小松田君。私の力説違う意味で効果抜群なんだけど。そっと小松田君の胸板を押せば今度は簡単に離れてくれた。小松田君はもう私に怯えていなくてその綺麗な目で見つめてくるもんだから少し照れる。


「泣かないよ小松田君。人生はね笑っていれば大半はなんとかなるんだよ。」

「名前さん.....」


小松田君が凄い寂しそうな顔で見てきたが私は目をそらした。別に今は泣きたいとなんて思ってないよ。大体、涙なんてそう簡単に出ないよ小松田君。今度はそっと右手を取られて小松田君の両手に包まれる。この子、狙ってるのかな?わたしこの短時間で何度か君に胸きゅんしてるよ!伊作くん、天然タラシは食満くんじゃない小松田君だよ。


「じゃあ、あの、もし辛い事や嫌なことあったら僕じゃ頼りないかもしれませんが、その、抱え込まずに相談してくださいね?」

「ありがとう小松田君。頼りになる先輩を持ってよかった。」


先輩と言う言葉に小松田君はたいそう喜んでいた。今まで泣いてたのが嘘のように笑顔になってそっかぁ僕は名前さんの先輩なのかぁ。あ、先輩だからもう少しフレンドリーに名前よんでもいい?名前ちゃん!よし!僕これから名前ちゃんて呼ぶね!名前の呼び方とか意味あるのかな?小松田君が喜んでいるからいっか。そういえば屋根裏を監視してた奴の気配が消えた。あいつらほんとに忍者なんだから監視中ぐらい殺気押さえればいいのに穴があきそうだわ。私、今ライオンに出くわしても平気なきがしてきた。


改めて小松田に仕事を尋ねれば特になかった気がすると言われたので私達は忍者ごっこをすることにした。吉野先生か事務のおばちゃんが帰ってくる迄の時間潰しと思っていたんだけど案外熱中しすぎて私は迫真の演技を披露していた。しまいには1年は組の3人トリオまで加わって私と小松田君が悪者約、らんきりしんのトリオはどこぞの姫を守ろうとする忍設定になった。私のアドリブの所為で実話姫様は小松田君の生き別れの妹になりその上乱太郎が私と幼馴染みということになった。ごちゃごちゃしすぎてわかんなくなってきたがまあいいや。


「乱太郎っ!私は君を傷つけたくないどうか引いてはくれないだろうか?」

「いくら幼馴染みの頼みでもそれは聞けない。私は姫様を守ると誓ったんだ!」

「ま、まさか乱太郎君僕の妹に惚れて....」

「しんべェ!今だやっちまえ!」


きり丸君の合図でしんべェがそこらへんで拾ってきた木の棒を小松田君にふるう。私は彼を庇い切られた。倒れる私を小松田君が抱え悲劇シーンに突入だ。


「名前ちゃん!!なんで僕をっ...」

「私は身寄りのない身....あなたは生きて...」

「なにをやってるんですか君達は!!」

「そんな!僕は名前ちゃんが「小松田君!私を無視しないの!!」ひぃいいいっ」


吉野先生の怒鳴り声を聞いてわたわたする小松田君。私はおいこらしょっと起き上がり取り敢えず正坐した。


「うわ。いいところで来ましたね吉野先生」


私は3人トリオに目配せをして逃げることを指示した。どうせ土井先生に怒られるんだから此処は回避させてやろう。ああ、優しいお姉さんになりました。私はどうやら此処に来て心が広くなったようです。


「名字さん!あなたって人はどうしてこう女性らしく大人しくできないんですか!地べたに正坐しない!そこに座る!小松田君も!」

「紳士ですね吉野先生。おいこらしょっと。」

「名前ちゃんおっさんみたいだよ。あと吉野先生は女性に弱いからきっとそんなに怒られないよ。」

「本人を前にして怒られないと君はよく言えましたね小松田君。それよりいつの間に二人は仲良くなられて?」

「吉野先生、若者は友情も愛情もいつの間にか育まれるのです。できちゃった婚とかあるでしょ。」

「でき?できちゃった婚?まあ、仲が良いことにこしたことはありませんが....ふざけすぎるのはよくありませんね!」


やばい。これはやばい。吉野先生お説教はじめるきだ。なんだよなんだよ、いつも私がなんかやらかしたってニコやかにスルーしてた癖にどうしたんですか吉野先生!何故小松田君と廊下に並んで正坐させられ仲良く叱られねばならんのですかああああ。長く正坐するスキルなんて取り入れてないから既に足が痺れている。あ、だめだ吉野先生さっきの仕事の失敗と昨日とこの前のもまとめて怒ってきてる終わらないパターンだ。なんで怒られてんのに小松田君ニヤケてんだよ。ぶっとばすぞコノヤロー。


「聞いてるんですか名字さん!!」

「あ、聞いてます。私もどちらかって言うと木綿豆腐派です。」

「あなたって人はほんとに!!小松田君は何を笑っているんですか私は怒ってるんですよ!」

「はい!仕事がんばります!」

「そのイキだ小松田君がんばれ!」


吉野先生の叫び声は忍術学園中に響きわたったのであった。


back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -