▼何 卒 存 じ て お り ま す

こちらの世界にきてから2週間後やっとこさ私の身の潔白は証明された。証明されたと同時にこの学園のこと知りすぎたらしいから此処に身を潜めていつか帰れる日を待たねばならんのだって。ただ住むんじゃなくて仕事をしろってさ。あのさ、私は平成からきたのさ。蛇口を捻って寒けりゃお湯が出るし洗濯だってボタン1つ押せば洗ってくれるしご飯だってめんどくさけりゃ電子レンジでチンすればいいのだ。その便利がないこの時代よ?私は便利道具の役割をしろと言われたようなもんだ。総員何人いるかもわからない食器洗いに、泥まみれの服を念入りに洗い、ゴミがおちてんのかよくわからない校門前を掃いて、あたたかい声援をもらったり罵倒されたりもしながら廊下の雑巾がけをしたりと過酷すぎる日々を送り始めた。鬱病になりそうだ。誰とも話したくない何もしたくない働きたくない寝てたい。あ、これじゃあ駄目人間じゃんね。食堂のおばちゃんと今日は何が食べたい?えーとですね、私はコロッケがいいですね。なんて平凡な会話をしながら一緒に皿洗いしてますが最初私を見たとき凄く嫌そうな顔しましたからね。ひどいですよ、初対面の人にあんな毛嫌いされるの初めて、でもないわ此処に来た時大体皆そんな反応だった。後でお話を聞いたら前の子達はこの過酷な皿洗いが嫌になって途中で投げ出していったらしい。おまけに天女マジックできるやつは食堂のおばちゃんを無理やり働かせる悪者にしたらしい。なんて傲慢な女がいるんだびっくりだよ。衣食住をさせてもらったあげく私のような扱いをされた訳でもないのに何もしないだと!?どこのお姫様だよ!ちゃんと親御さん教育したってよ。あれ?天女マジック?そういえば私さ、トリップしたのにただの間者になったし誰にも惚れられてないし寧ろ私が新野先生に惚れたし何この状況。最後はさ、なんかこう誰かとこう相思相愛?になるんじゃん?でも私さこんな糞餓鬼共好きにならんよ?あ、下級生は別!何あの小さい子達天使だよまじで三年の三反田数馬君とか私に無償の奉仕をしてくれるし(保健委員だからだそうだ)それに時友四郎兵衛君とか私に偏見もなく普通に話してくれるし肩まで揉んでくれた。好きだほんとに可愛い、舐め回してしまいたいがこれは犯罪だ。ああ、私は一体全体どうして此処にいるのだろうか。あ、気づいたら皿洗い終わって昼の注文取りやってた。考え事しながら仕事すると早く終わっていいなあ。


「お手伝いさん顔キモいですよー」

「おばちゃーん!三郎君私の可愛さにノックアウトされてご飯いらないそーです!雷蔵君は私が勝手に決めたA定食で!」

「迷わず決まってよかったあ名字さんありがとうございます。 」

「おいふざけんな糞アマ!おばちゃーんB定食で!おい、なんで私と雷蔵の区別ついたんだ?」

「舐めてんの?私をどんだけ馬鹿にしてんの?フワフワ癒しの雷蔵君からキモイなんて言葉でるわけないでしょ?」

「雷蔵今度はお前が狙われてるらしい気をつけろよ」

「えーと、うーん、お手柔らかにお願いします」

「うぇいやあ!可愛すぎて私どうにかなってしまいそう」

「死んでしまえ」「三郎一応年上なんだよ!」

「(一応?)ほら、飯だよとっとと席座れ。雷蔵君はごゆっくり。」


私はこの注文取りとゆう仕事が一番嫌いだ。何故なら皆無駄に話しかけてくるからだ。AかBを言えばいいだけなのになんでうざいきもいしねがついてくるの?今日はいい天気ですねとか空見ればわかるわ内輪話したいのならもっといい話題もってこいやこらぁ!


「ふん、双忍にちやほやされていい気になるなよ」

「げっ」

「なんだその顔は」

「いやいやなんでもないですよ。ほんとなんもないんで早く注文おねがいします」

「おばちゃんA定食ください」

「おい、ここに私と言う名の伝令役がいるだろうが仕事を奪うんじゃねぇよ」

「お前に頼んだら毒でも入れられかねんからな」

「へっ!唾入れて渡してやるわクソ野郎」


そんな私とサラストの会話を一番手前の席に座って聞いていた可哀想な三年生達。チラチラこっちを見ながらこれ以上ヒートアップしないか慌てていた。可愛い。こんな小さな子に気を使わせてしまうとは不覚だ!おばちゃんがわたしにA定食を渡して来るまでの間壮絶な睨み合いを繰り広げていた。そんな美形にガン見されたってこわくねーんだよ!わあ、まつ毛ながーい!としか思わないわ!何が殺気をおびた目だ!あの暴君七松に押し倒された日に比べればへっちゃらだわ!大人しく配膳を受け取って奥の席についたサラストだが不機嫌マックスで隈野郎が気まずそうだった。あ、足蹴られてる。なんか隈とは仲良くできそう。


「こんにちわ名前さん」

「あれ?君なんでいつの間にか私のこと名前で呼んでるの?」

「やだなあ、僕と名前さんの仲じゃないですか」

「そうだったんだへー。で、何食べる?」

「名前さんも僕のこと名前で読んでくださいよ」

「はいはい。伊作君何食べる?」

「前に良い人って名前さんが言ってくれたじゃないですか。それで僕気づいたんですよ。名前は不器用なだけで人を見る目はあるんだって」

「おい、さんが抜けてるぞ。あと人の話を聞いて、何食べたい?」

「え、呼び捨てでいいっていったじゃないですか」

「食満君この子どうにかして」

「はははは。すいません、さっきそこで転んで頭打ったので頭をちょっとやられたみたいです。あ、俺B定食で。」

「ちょっとちょっとなんで留三郎に頼るの名前」

「あれ?敬語もなくなっちゃった?お前が私の話を聞かないからだよ!で、AとBどっち?」

「え、そんなまだ僕達には早いと思うよそーゆーことはでも名前がいいって言うなら僕はCまで全然イケるっていうかいきたいっていうか」

「....おばちゃーん。伊作君がおばちゃんとC「B定食おねがいしまーす」最初からそう言えよ」

「すいません。名前さんこいつ褒められなれしてないんでちょっと浮かれちゃって」

「留三郎!なんで既に名前呼びなのさ!僕はちゃんと段階ふんだって言うのに!わあーん!留三郎の女っタラシーっ!!」


ちゃんとB定食を持って駆け出した伊作君はちょっと転びそうになりながらもサラストの席にまでたどり着いて隈に慰めてもらっていた。なんかギンギンが不憫になってきた。褒められなれしてないって私も別に褒めてないけどね!素敵な勘違いがここまでくるとはスゴイな流石は組。


「じゃあまた夕方に、お仕事無理をなさらない程度に頑張ってください」


食満凄いイケメン。いちいち背景にキラキラしたのつくから腹立つけどめっちゃいいやつだ。ロリコンだけどなんかもうそれさえもイケメンっていう長所になった!


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