▼あ ど け な い 絶 望 の 微 笑 み

バレーボールと言う名の新人いびり大会を終え、負傷したため頭に包帯を巻かれTHE病人ですって感じの私ですがとても元気です。気絶して寝てしまったので夜中の今でも目がパッチリ。夕餉までは下級生とか見舞いに来てくれたくノ一の子が居たんだけど夜中じゃん。みんな寝に帰ったよね。私もさまさか七松君のスパイクをもろにくらった尾浜君と一晩過ごせとかじゃなかったら喜んでここに居るんだけど隣にいるのうどんじゃん?つまり被疑者と容疑者を同室にさせますか?一度、尾浜君目を覚ましたみたいだけど寝たふりかましておいたよね。そしたらボサボサの竹谷君きてなんか私を起こさないように遠慮がちに怒って出ていったけどさ。内容は下級生にもしボールが当たっていたらどうするんだバカヤローみたいな内容だった。私もそれには同感したから心の中で拍手しといた。流石生物委員だ私の事は一切スルーで下級生をよくぞ庇ってくれた虫野郎ちくしょー。私も褒めろ。しかし、尾浜の見舞いに虫野郎しかこないのか?同学年や学級委員長委員会の下級生はどうしたんだ?一度くらい顔を見に来てもいいんじゃないのかな。腹黒さにみんな気づいちゃって近づけないと?そんなまさか。それよりなにより自分の部屋に戻りたい。だけど伊作君にもし僕が保健室に来て名前がいなかったら一週間体が痺れる薬飲ませて孕ませるよ?て脅されているので出られない。伊作君ならやりそうだよ、変な性癖もってそうだしさ。あー、どうしたもんかなこの状況。一応布団を隔てるものがあるけどこんな薄い区切りで果たして私の寝たふりは忍たまにバレないでいれるだろうか。


「いや、バレてますよ天女様」

「・・・・(寝言か?)」

「んな、わけないでしょ」


ですよね。そうですよね。尾浜はもう七松から受けたダメージを回復している流石忍たまだ人間の範疇を超えている。だがしかしわたしは一般ピーポーひ弱なかわいい女の子これは、つまり、逆恨みにより殺される!!すっと頭痛を堪え冷静に襖に近づけば「もう何もしませんよ」と弱々しい尾浜に静止された。

おいおい、こんな潮らしい雰囲気を乗り越えるスペック私には持ち合わせてないよ。まず、もう、てなんだよ安心していいのか!?喜んでいいのか!?


「尾浜君は怪我だいじょうぶ?」

「七松先輩のイケドンアタックをモロにくらったんでしばらく消化に優しいものじゃないと食べれそうにないなあ」

「いや、なんか、ごめん」

「そうですね。全部あなたの所為です」


このゲス野郎人が下手にでてればいけしゃあしゃあと自分の負荷を私に押し付けやがって少しは反省しろ!どんだけ天女に恨みもってんだよネチネチと女々しいにも程があるはいい加減うざくなってきたわ!爽やかって誰のこと!?この人ネチネチドロドロだよ!びくびくしているのが馬鹿らしくなってきたので床につくことにした。私はもう喋る気はないが尾浜の方はぶつぶつとくだらないことを言っている。


「天女様も気づいたでしょ?俺の見舞いにだーれもこないんだ俺のイジメに耐え続けた天女様の勝ち」

「私は勝負をしていたつもりはないよイジメられてはいたけど」

「強がりだよそんなの、いい人ぶろうとなんてしなくていいのに」

「君はいちいち難癖つけるね、私からしてみれば君の方が意地を張っているように見えるよ。天女が君に何をしたかしらないけど私とその女を重ねるのはやめてくれないかな」

「わあ、本性がでてきた」


仕切り板からひょっこり顔をだしてきた尾浜は嫌な笑みを浮かべていた。殴りたい。


「本性、本性、言うけど私は君たちの前で自分を作った覚えはないよ。勝手に君達が天女にして勝手にきらいだいやだと避けてきたんでしょーが」

「天女様は今度は被害者面か」

「君の方がずっと悲劇のヒーローを演じてたと思うよ」


こーゆう、我が強い奴に何言っても無駄無駄。世に言う馬鹿ってやつだよ、こいつに時間を使うくらいなら私は寝ます。見舞いにこないだとか私なんかこの世界にきて見舞いにこられたのは今回が初めてだったよ尾浜よ。君は仲間がこないことに悲痛に思ったかもしれないがボサボサ頭は君を叱りにきてくれたじゃないか喜べそれが素敵な友情なんだ。

私からしてみれば尾浜も鉢屋も下級生も天女の妖術?にかかったやつらは愛情に満ちた関係を望みすぎている。自分が愛したからって相手が同じくら、それ以上に想ってくれるとでも思っているのか。この戦国の世だからこそ切望してしまうのかもしれないが馬鹿げている。どこの時代も愛だ恋だと盛り上がる所は一緒なんだなあ。


「あなたは愛した人を失ったことがないからそう言えるんだ」


私も上半身を起こして尾浜と向き合う。彼は私の言葉にくやしかったのか、掴んでいた仕切りに爪をくいこませていた。ああ、飛びかかってきそうな勢いだなあ。


「失っているじゃない。望まずにこの世界に来て、家族や友達も好きな人もいない。来てからずっと思っていたけど君たちは自分しかみていないね。仲間だ仲間だといいながら自分が一番悲しいみたいに必要としてくれている心配してくれている人がいるのに気づかないの?」

「そうだよ!気づかなかった!だからみんな離れていっちゃった」


ボロボロと涙を流し始めた尾浜勘右衛門。くっそ女子みたいに涙流しやがってかわいいぞこのやろー。くりんとした両目からじわじわとでてきてそれを両手で拭うもんだから幼く見えた。私はもう体の倦怠感や頭痛など我慢して私たちを隔てる仕切りをどかした。重いなこの板!尾浜くんの側により彼の手を握れば振りほどかれると思ったが一瞬びくっと反応したもののすんなり受け入れられた。


「離れてなんかいない。現に私は君をゲス野郎だの暴力男だと言ってもこうして尾浜君に触れられる、慰められる。君が私を憎む理由を知っている天女が良くない女だったことも忍たまの何人かが彼女達を好いていたことも知ったからこそ私は文句を言えど君達のして来ることに悪い事だとは言えなかった、同じ情を持っているからね」

「でも、今まで俺があなたにぶつけてきたのはあなたに対しての怒りなんかじゃない。ハチはねあなたのことを天女として畏怖していても1人の人間としていい人だと葛藤して悩んでいた人間も生物もその命に対して人生は一回だから天女だからと他人の罪をあなた個人にぶつけていいものかとね。俺はそんな相談してくるハチの気持ちすら察することができずにこのザマだ。大切な下級生まで自分の私怨に巻き込もうとしたんだ!」

「尾浜君の友人も後輩もわかってくれているよ。君は天女からみんなを守ろうとした。思いは憎しみからだとしても君の行動は異端者からこの学園を守ろうとしたものでしょ。みんなもそれを分かっているから竹谷君は下級生の安全について君を咎めた、でも尾浜君を責める人はいないよ」


なんで私、ここまで自分を悪く言ってんだろ異端者てそりゃまあ部外者ですけれどもまるで自分狂気みたいな説得しちゃったよ。励ましながら自分のHPが削られてってるわ。こいついつまでめそめそすんのかな最初は可愛かったけどだんだん泣き止まないから疲れてきたんだけど。


「でも、」

「あんたが、仲間を疑ってどうすんのよ!五年間苦楽を共にしてこの戦乱の世を忍たまとして生きてきたんでしょ!そんな生死と隣り合わせに生きてきた人間がこんなことであんたを嫌いになるわけないでしょ!私をどんなに疑うも嫌いもすればいいだけどそれで仲間を信じれなくなったなんて言いがかりつけられたらたまったもんじゃないわ!」

「!」


最後まで優しく言うつもりだったがこいつにはこれくらいびしっと言わなければわからないだろう。それにだんだん眠くなってきてしまった。私にまくし立てられた尾浜君はぽかんとして涙はとまっていた。それでよし。握っていた手を話し布団に潜る間も彼は私を見たまま惚けていた。


「さあ、寝よう」

「!ま、まってください名前さん」

「あ、名前で呼んでくれるようになったんだね」

「今までごめんなさい!!誤って許されることじゃな「それ以上はもういい。わたしは弁解なんかよりこれからを見て左右するだから言葉は何も感じない、ごめんね」

「名前さん....」

「尾浜君に名前で呼んでもらって嬉しかった此処にいる間はずっと睨まれてないとならないと覚悟していたからね」

「そ、そんなことあったかもしれない...」


尾浜君の髪は感情によって動くんだねほんとに生きてるみたい狸のしっぽみたいな!なんか眉毛とか目とかも見える気がする。その後は尾浜君がいくつか質問してきたり世間話をして気づいたら寝てしまっていた。寝たのは夜中だというのに夜明けに伊作くんが入ってきて破廉恥だとかいって騒ぐから睡眠不足です



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