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泣いている。俺の目の前で体育座りをして膝を抱て名前は泣いている。

「ち、千種っ」

俺に気づいた彼女はそれでも顔を上げる事はせずただ泣いている。
あのファミリーから今までずっと一緒に居るのに俺は名前を泣きやますことはできないんだ。
犬だったらこんな時どうする?多分すごく汗って取り合えず頭を撫でて「泣くんじゃねー!」と自分も泣きそうになるんだろうと思う。
でも、俺はこうやって隣に腰を降ろしてただひたすら気がすむまで泣くのを待つことしかできない。

骸様はしっているのだろうか?こうやって名前が泣いているのを。
知るはずないか…知っていたら、言い方が悪いかもしれないけれど甘い言葉をとことん掛けて操るように上手く丸めこむに違いない。
ほんとうに、骸様は尊敬できるよ。だからこうして付いて来てるんだけど。

「ち、千種はっあたしを邪魔だと、思わない?」

「思うわけない」

「ど、して?何の、役にも…立たないのにっ」

そんな事いわないでくれ。気づかれないようにため息を吐く。気づかれたらまた、自分が必要ないと勘違いしてしまうから。
名前が最近こうやって1人で隠れて泣くようになったのはクロームが来てからだ。
ボンゴレとの戦いがあってから自分が無力だからだと責めていた彼女にとって骸様と近い力をもったクロームを見るのが辛いんだろう。
あの時、自分ではなく彼女が居たら…
どうせそんな事でも考えているんでしょ?

「あたし、ね。クロームちゃんみたいに、なりたっい」

やっぱりね。どうしてそう考えるの?俺や犬は名前がどれだけ凄いか知っている。骸様だってそうだよ。あの時から今までもこれからも名前が必要なんだ。

「必要ない」

「!…っそ、うだよね。千種も、私なんか必要ないって」

「そうじゃない。名前は名前のままでいい」

「でも、あたしなんかっ」

「名前は自分がどれだけ必要とされているか分かってない」

口数の少ない自分だから、ちゃんと伝わっていないと思う。それでも、言えるのは「俺には君が必要だ」て事。
それを言ったら今度は声をあげて泣き出した。急に抱きついて来たから正直驚いた。ズレ落ちそうになった眼鏡を戻して名前の背中に手をまわす。
いいよ。気がすむまで泣いていいから。
泣き終わったら皆でお菓子を買いに行こう。
それと今日はクロームに料理を教わる日だったでしょ確か…だったら材料も買わないと
いつか骸様に食べてもらうてはりきってたもんね

「うわぁぁぁぁぁん!千種っ、千種ぁ!」

「はいはい」

「あたしで、いいのっ?ほんとに、いいの?」

「だから、名前だからいいの」

何度でも答えるよ。だから、いくらでも聞いて。
恐くなったら1人で泣かないで俺に聞いて
そしたら、また俺は君が必要だって何度だって言うから

なみだ涸れても

(それは面倒な事じゃ、)
(ないからさ…)


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