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ベットに横たわる彼は息をする事はもうない。
銃で打たれたなんて嘘見たい。
死んだなんて嘘見たい、なーんて…

あたしが名前を呼んでも返事しないんだから死んでるのよね。
疲れきった顔…ツナは頑張り屋さんだもんなぁ
あたし、あなたの奥さんなのに何もしてあげられなかった…

「うっ…っ、ツナさぁんッ!」

「!」

突然部屋に入ってきた女は横たわるツナに抱きつき声を上げて泣いた。
ツナが浮気なんかするはずない、
あたしが顔を顰めた事にいち早く気づいたリボーンは彼女の事を教えてくれた。

中学からの知り合いなんだって、
ツナの事が大好きでずっと片思いだったんだってよ。

泣いて、ツナの名前を呼ぶからどっちが奥さん何だかわかんないね。
あたしなんかツナが死んだって聞いてから今までまったく涙がでないのよ。

愛してたのよ?本当に大好きだったの…
でも、ツナの事まったく知らなかったのかな?
こうやってこの部屋に集まって来てくれた人の顔だって半分は知らない。
一人一人に頭を下げて、その間も彼女の泣き声が耳に入る。

あぁ、ツナに触らないで。
あんただけが辛いんじゃないのよ!悲しいんじゃない!名前を呼ばないで!
あたしだって、声を上げて泣きたかった!!!

ベットの傍に立って拳を握り締める。泣けない、涙なんか、出せない…

殺した相手が憎いとか色々考えてた、これからツナがいないのかとか、もう一般にはなれないと…

どうしてこんな惨めな気持ちにならないといけないの?
唇を噛み締めて涙をこらえる。

あたしはマフィアのボスの妻なんだから…
弱くては駄目っ
これから新しいボスが決まるまであたしがボンゴレを支えるんだ、
ツナはあたしが泣く事を望んでなんかいないんだからね。

そう自分に何度も言い聞かせた。

「最低です!」

「!」

「最愛の夫を亡くしたのによく平然としてられますね!」

「何をっ」

「ツナさんは貴女を本当に愛してたんですよ!なのに貴女はツ!!」

泣き叫んで彼女は私の胸ぐらを掴んできた。リボーンが彼女を私から引き剥がす。そうよ、早く追い出して…
とても不快だわ!

当りを見れば獄寺も山本も、みんながあたしを見るその目が彼女と同じなんだ。

雲雀さんや骸はあたしの気持ちを察して、冷たい眼をした人達を部屋から追い出してくれた。
そりゃ山本や獄寺は残ったよ、守護者だからね

がらーんと空いた部屋であたしはツナの頭を撫でる。
ごめんね。やっぱり我慢できないや…
止めていた涙が溢れ出る。
守護者だけだもん、あたしツナが信じてた彼らを信じてるから。

「知ってるよッ…ツナがあたしを大切に思って、てくれたの」

驚いた顔でこちらを見る2人とあたし達を見ないようによそ見をする2人。
誰が誰なんてどーでもいいけど、できればツナと2人きりにしてもらいたかったな。

「泣いちゃ、駄目だよね…ツナはもっと、もっと苦しかったんだよね」

知ってる?あたしツナが思ってるより凄く凄く愛してるんだよ?
涙を流して満足なんかしないわよ?泣いたからって愛してた、て事になるの?
伝えたい事沢山あるけどそれを言ってしまったらツナは安らかに眠りにつけないでしょ?

静かに、ただ静かにツナの手を握って声を堪えて泣いた。
この涙は流れてしまったら止まらない。

未消化だから苦しいままで

「なぁ、獄寺…」

「ん、だよ」

「愛していたからこそ、堪えなきゃならない涙ってあるのかもな」

「俺が知るかっ」

十代目の横たわるベットの隣で座り込み、冷たくなった手を握りしめ必死に声を堪え涙を流し愛しい人に話しかける奥さんを俺は「愛していなかったんじゃないか」と疑ってしまっていた。

「でもよ、十代目が此処で寝ていたれるのは今だけなんだ」

今のうちにちゃんと顔を見とかなきゃ、灰になってしまうんだから…


「触れられなくなる前に、流せるものは流しといた方がいい」


声をあげて泣いて下さい。じゃないと俺達は貴女のそんな姿を見るのが辛い。


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