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俺は暗殺者でお前は一般人。
よーするに裏社会で生きる俺と、表社会で生きているお前。

ぎ去った時間はもう戻らない

生きていく世界が違いすぎる。
そんな事俺達は理解してる。

「スペルビ。」

「なんだぁ?」

「今日、イタリアに帰るんでしょ?」

「あ゛ぁ」

日本での長期任務中に出会ったごくごく普通の女。
俺が仕事を終える時間と、そいつがバイトを終えて家に帰宅する時間がたまたま同じだったのだ。

俺が言うのも何だが夜道に女1人で出歩くのはどーかと思うぞぉ?

何回かすれ違ううちに俺は何だかほっとけなくなってそいつを家まで送って行っていた。
普通黒服着た怪しい奴が家まで送ると言ったらそれこそ危ないと思うがあいつは危機感てものがないらしく「あ、どうも」と言ってすたすたと歩いて行きやがった。

とことん俺は甘ぇ…もしかしたら、こいつを裏社会に巻き込んじまうかもしれねーつーのにバイト帰りのお前を家まで送るのが日課になっていた。

そんで気づいたら夜だけでなく会うようになっていたのだ。
お互い相手を詮索することもなく、別に何を話すわけでもない…

そんな日も今日で終わる。
お前を家に送るのも今日で最後だ

月明かりが夜道を照らし、
お互いの顔が見えるくらいに明るい。

「そうか。スペルビに送られるのもこれで最後か…」

「ヴぉい!!一応送られてるっつー気はあったんだなぁ」

「当たり前。」

妙に空しさがあって、沈黙が続いてしまう。

「スペルビの仕事は大変なの?」

「まぁ、なぁ」

「そうか…」

切なげに微笑えまれると何て言葉を返したらいいのかわからなくなるぞぉ!!

「その仕事に優しさは必要なの?」

「いらねーなぁ」

お前の家の前につく。
1人暮らしなのか明かりはいつもついていない、

「もう、会う事はないと思うから約束してくれない?」

「あ゛ぁ、できる範囲ならなぁ」

家の鍵をあけるお前の背中を見送る、小さくて何を考えているのかよく分からない奴。

「今日でその優しさは最後にして」

「?」

「スペルビは優し過ぎるんだ」

「ヴォオオィ!!何言ってんだぁ!?」

「そんな甘くては死んでしまうよ」

家の中に入ろうとするお前を引き留めようとしたが、
「ばいばい。ありがとう」そう言ってドアを閉める方が早くて間に合わなかった。

ドアが閉まる一瞬見えた泣き顔が頭から離れねぇ

生きている世界の違いに一番気づいていたのはお前だったんだな…
玄関のドアの前でしゃがみ込んでいるお前の影を背にして帰る

「わるかったなぁ゛」

お前に見えるはずはないが手をふった

たしかにそこには愛があった

(会うことはないけれど、)
(死なないでほしいと思った)

(心配かけさしちまったなぁ)
(ぜってぇ死なねーぞぉ!!)



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