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不思議な奴に出会った。
仕事を終えた帰りの路地でこんな黒い服に身を包んだ俺を見てビビりもせずに微笑んだ女に会った。
その笑みがとても悲しそうなものだったけど、俺はそいつを睨んで屋敷に帰った。

今度は任務を終えた直後にそいつに会った。

血まみれになった俺を見て、「そこが居るべき場所なのですか?」と、問いてきた。
こんな光景を見て普通にしていられるって事はこいつは一般人じゃねーと確信した。

「ヴぉおおおい!!お前は一体何者だぁぁ!!」

そう聞けば、クスッと笑ってそいつは悪戯な子供のように、

「黒。」

と答えて一瞬でどこかに行ってしまった。
大した身のこなしだった・・・
やっぱり裏社会のもんだ。

何故、俺に問いかける?
何故、俺にあんなに哀しそうな顔で話しかける?
それから、奴は仕事帰りの俺の前に何度か現れるようになった。

必ずではなかったが、
来るたびに、

「戻れないの?」「どうして?」「今日もだったの・・」

と、意味の分からないことを問いてきたり言ってくる。


希望のない眼。
見透かした言葉。
こいつは俺の何を知っているのだろうか?

それが、不思議で恐怖心を抱かせた。
どこかで見たことのある顔、惹かれる思い。

あいつはどうして、悲しそうに笑むのか、何故無理に俺の前に現れて俺を引き留めるのか。

興味があったが触れることができなくて、また、会いたいと思えた。

ある日言われた、

「貴方は明後日の任務を遂行するの?」と、

何故こいつが知っている?
どうして、、、、
そんなに血だらけなんだ?

「ヴォィ・・・。お前その傷どうしたんだぁ?」

「私が質問しているのよ。」

そう言って、苦痛に顔を歪めながらも俺の前に立つ。
何故そこまで知りたがる?
どうやら肩から出血しているらしく肩を押さえている。

「・・・あたりまえに、任務に出る。」

「そう・・・」

哀しそうにまたも微笑んでその場を立ち去ろうとするが怪我でいつものように立ち去ることができなかったらしい。

俺は腕を掴んで引き留めた。

掴んだ手は細くて、これ以上強く握れば折れてしまうんじゃないかってくらいだった。

少々驚いた顔で「失敗」と笑って言った。

「俺の質問に答えろぉ・・・」

「そこが私の居場所だったのよ。」

振り払われた手。
気づいた時には奴はもう、遠くにいて、

「明後日の任務は意味がないわ。」

と言葉を残して走り去ってしまった。
その次の日奴に合わなかった。
結局明後日になって、俺は任務に出た。

ボンゴレと同盟を組むファミリーのご令嬢の護衛だそうだ・・・
こんなんで暗殺部隊のヴァリアーが動くなんてどうかしてるぜぇ。

それぞれがそれぞれの配置につき、部屋を囲む。
俺は部屋の中での護衛だった。
ノックをしたが返事はない。

そこのボスが扉をあけると、血で赤く染まった床に眠むった様に死んでいる、あいつが居た。

昨日の晩、会えなかったのは・・・
もう、お前がいなかったから。

どうして、出会った日に気付かなかったのか、

俺は一度この屋敷に偵察に行った時に、お前に会っていた。
哀しそうな顔で微笑み、

「貴方はは殺し屋ですか?」

と尋ねるあいつ・・・

「だったら私は殺されなくてはいけないね、」

そう言ったのを何で俺は覚えていなかったのだろう・・・

「俺はお前を守るためにきたんだぁ。」

そう言った自分が居たのに、守れなかった。
気づけなかった。
わざわざ城を抜けてまで俺に逢いに来ていたのは、助けてのサインと、死の予告だったんだ・・・

任務は終わりました。
もう、お前に会うことはできなくなりました。
馴れている事なのに、どうして、こんなに悔しくて、苦しいのだろう?

助けての合図

(ごめんなっ、、)
(気づけなくて、)
(好きになって、)
(今の俺は、)
(すごく、惨めだろう。)


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