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「俺、幸せだった」

馬鹿だよね。マフィアのボスだって言うのに愛した女に今殺されるんだよ。
気づいていたのに止めることなんかできなかったんだ

「ほんと、綱吉は甘いよ」

「そうかな?」

「うん。何で今まで皆殺せなかったのかわかんないや」

社長椅子に座る俺の後ろに立って銃を向ける名前。
銃を向けられているけれど平然と書類に目を通してペンを走らせる。
だって死ぬなんて実感わかないし
確かに後ろ頭に冷たくて硬いものがあてらてるのは分かるけれどさ。
リボーンによく脅されてたし
なれ?なのかな?

「恐くないの?」

「別に。名前だし嫌じゃない」

「!怒らないの?裏切ってるのに」

「最初からわかってたし、」

分かっていたのに、逃げないで、君を殺さないで傍に置いていてのは俺なんだ。
今も君から銃を奪って殺してしまうのは簡単な事なんだよ。
だけど、できないんだ
俺が死ぬなんかより、俺がこの手で名前を殺すことの方が嫌なんだ。

「ありがとう」

「?名前からお礼を聞けるなんて思ってなかったな」

「楽しかったから」

なんでそんな事いうのかなー
今、名前の顔を見れないのが残念だ
それに、お礼を言いたいのはこっちの方だよ。

こんな俺に嘘でも好きだと言ってくれてありがとう。
全部受け入れてくれてありがとう
君の苦しみを知ってあげられなくてごめんね。
幸せにできなくてごめん。

言いたい事は沢山ある、だけど言ったら君を苦しめちゃうと思うから言わないよ

「ねぇ、名前の顔が見たいな」

「…駄目だよ」

「ははっ。いいじゃんか」

「私が見たくないんだもん」

俺も疲れていたんだ。君の手で逝けるのならそれもいいと思ったんだ。
だって、俺を殺さないでファミリーの元に戻った名前は殺されちゃうだろ?
そんなの嫌だからね

「さよなら」

「愛してるよ」

愛してるよ名前。俺の命を捧げます。
俺の命で君が幸せを掴めると言うのなら差し出します
そんなの綺麗事だね、ほんとは君を失うのが恐かっただけ

―…バンッ

椅子から倒れる時、後ろを振り向いた。
俺を嘲笑う君の顔が見えたんだ
痛いなんかより苦しくて、辛い

だけど俺はそんな君でさえ愛してしまった。

のメモワール
(愛なんて脆い)
(死んでしまったら)
(終わりじゃない)


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