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私達には名前があるが此処の大人たちは番号で呼ぶ。
私達もそれでいいと思っている。だって私達を捨てた親から貰った名前などなくても構わないから。

決して女の子らしいわけでもない、性格もいいわけではなかった。寧ろ他の女の子よりも格好はみすぼらしいし性格も捻り曲っている。
だけど、私の生きる世界は狭いので外の世界を知らない。
私と共に生活している彼等も自分達以外の人間を知らないから憧れなど抱けない。
こんな所で死んでしまうのだから何を望んだって無駄なのだ。でも痛いのは嫌だ。できれば死にたくないなんて我儘でしょうか?

「君はいつから此処にいるんですか?」

滅多に話さない眼帯をした少年が話しかけてきた。少年?て言うのはおかしいか…見るからに私より年上そうだし。まぁ、此処に年齢とか関係ないけど。
藍色の髪に何かを惹かれ私も滅多に話さないのに口を開いた。

「覚えてない。そんなの数えてないもの」

「クフフ では、僕と同じ位ととっていいですか?」

「えぇ。別にかまわない」

「君は此処で最後の女の子になってしまいましたね」

「そう、あの子も死んじゃったの」

「さびしいですか?」

「馴れた。それに私ももう直ぐあの子の傍に行くもの」

別に哀しいなんてない。人が死んでしまうのは当たり前だもの。それが遅いか早いかの問題…
私が死んで哀しむ人間はもういなくなったし、これで私も悔いなく死ねる。次の実験はいつかしら。できれば早くくればいいのに。

「名前は自由になりたくないのですか?」

「…どこで名前知ったの」

「知っていますよ。君の事なら僕はなんでも」

「ふーん。変な人」

「君もね。壊したいと思わないのですか?」

「何を?」「この世界を」

こいつの眼は本当だ。壊したいか…実際私自身もう壊れているのに、なにを壊せというんだか。こんな壊れた自分が壊す事何かできるのか?
こんな私が外の世界に出てもいいの?死ななくてもいいのかもしれない。もしかしたら私は生きれるのか?でも、私は人間として認めてもらえる?あの実験で異常になってしまったのに…それでも私は青空の下を歩く事を許される?

「名前さえ良ければ僕とゲームしませんか?」

「ゲーム…?」

「世界大戦?なんてどうでしょう」

くふふふ。と笑った彼は私の手を握ったまま離してはくれない。何考えてんだこいつ…
ゲームか。ゲームて楽しいの?そうか、そうか、ゲームなら私にもできそうだ。ゲームついでにこの世界に復讐しよう。骸は、私をきっと外の世界に連れて行ってくれるだろうから。

さあ、悲劇の始まり始まり

(僕の復讐に加えたのは)
(君となら楽しそう)
(だったからですよ)


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