log | ナノ




貴方が好きでした。
ただ、それだけでした。
気づいてもらいたいとも思いませんでした
好きなだけだから

好きなだけ、だったのにな。


「死んでくれ。」

―――バシッ

自分でもよく訳が分からなくて。
何が起こったのか理解できなくて。
右手に伝わる痛みは貴方の頬を思いっきり叩いたから。

「すまねぇ」

そう言って頭を下げる獄寺を、見たくなかった。
必死に土下座をする彼を見たくなかった。
怒りと、悔しさで一杯だよ。

ツナの恋人の身代りになる。

そんなのボスの為と思えば何てことないよ。
それでも獄寺に言われるのはとっても…

悔しくて惨めになるよ。
おかしいでしょ?

ずっとボンゴレの為に命を懸けてきた私がボスの愛する人の為に命を捨てるなんて。

ボンゴレにとって私の「死」はとっても小さな事だった。

悔しいよ。
悔しいんだ。
凄く、凄く、凄く、哀しいんだ。

獄寺にとって、私の「死」は大した事ではないことが…
獄寺を好きな自分が今もまだ此処にいることが…

知ってしまうのが凄く嫌だ。

「もう、いい」

涙を堪えて強がったって、私が貴方を嫌いになることはできない。

「悪りぃ」

それでも、まだ顔を上げないのは何故?
これ以上、私を狂わさないでよ。

「ボスの為だもん」

ねぇ?私はうまく笑えてる?
歪んでない?
ちゃんと言えてる?
震えてない?

いつも通り?
これからも、終わりが来るまでいつも通り接して行けるよね?
獄寺とは喧嘩なんかしたくないよ?
だから、顔をあげてよ。
それでも、貴方が泣くから。
声をあげて私の前で泣いて謝るから。
私も涙が止まらなくて、しゃがみ込んで泣いたんだ。

「あんたなんか…嫌い!!大っ嫌い!!」

何度も何度も、嘘を貴方に叫んだ。
こんな事言いたかった訳じゃないのにな。

素直になれたら、よかったな。


今思うに何故あの時獄寺泣いたのかな?
何故、私を身代りに選んだのかな?

嫌いだったのかな。
そうであればいいな。
そしたら、私も貴方を嫌いになれるかもしれないでしょ?

それでも、好きであってほしいな。

私は私であってそうであるけどツナの恋人としてボスの隣を歩く。
いつもと違う髪型。服。仕草。

私の儘で死ねないのが嫌だな。

「ツナの恋人」として死ぬより、「獄寺を好きな自分」で死にたかった。

銃声の音がして、
周りが騒いで、
ツナが驚いて、
獄寺の顔が歪んで、
私が床に崩れ落ちる。
身代りだと知らないボスは私でない名前を叫ぶ。

良い最後じゃないか、
ボスから愛されて。

でもその愛は私のモノではない。

それが愛だと言うのなら、

…違う。違いますよ十代目。

その女は十代目が愛していらっしゃる方じゃない。
貴方の思い人はそこで泣いていらっしゃるじゃないですか、

そいつは俺の愛した女です。

ボンゴレの為とか十代目の為だと言わないでくれ、
どうせ伝えることのできない想いならば、
なくなってしまえばいいと思った。


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -