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銃弾の荒れ狂う中名前はいつもと変わらない笑みを浮かべたままその場に立っていた。
右手に握った拳銃と額から流れる血がこの場に不釣合いなほどに。

「ごめんね。折角助けに来てくれたのに」

俺は名前が何を言っているのか理解できなかった。だって俺はお前の恋人で、どこぞのファミリーに誘拐されたのを助けに来たのに何で謝るんだよ!
「ありがとう」ならわかるけどそりゃおかしいだろ?

「早く帰ろうぜ?皆お前を助ける為に来てんだ」

「駄目だよ。もう、遅い…」

拳銃が名前の手から滑り落ちて、涙が頬を伝っていた。それを見られまいと両手で必死に隠す名前はどうして俺の元に駆け寄ってくれねぇんだ?

「武の事、好きだよッ、愛してるっ、だけど」

「俺もだ。お前を愛してるぜ?そうだ、約束してただろ?結婚式するって!帰ったらしような?」

首を縦に振ってくれよ!泣くな。お願いだから帰らないなんて言うなよ。お前を失うなんて考えられないんだ。とうとうしゃがみ込んでしまった名前の傍に駆け寄った。銃声はまだ止まなくて、此処のボスはどうなったんだろうか?どうせなら俺が殺してやりたかったのな。

「名前…っ」

俺が傍に寄っても抱きついてはくれない。ただ、わんわん泣き続ける名前。
名前と同じ高さになるようしゃがんで抱きしめたが俺の背にお前の手が回される事はなかった。
どうしたんだよ!泣いてちゃわかんねーよ。

「ごめっ…ごめんなさいっ。ごめんっね」

小さな子供をあやす様に名前の頭を撫でたり背中をさする。それでもずっとごめんを繰り返して泣きやむ事はない。

そこで名前が着ているのがワイシャツだけでそれも肌蹴ている事に気づいた。
こいつが出てきた部屋はどこだ?あたりを見渡してドアのあいている一室を見つける。あそこは確か此処のボスの寝室だろ?
嫌がる名前の手をとって手首を見れば縛られた跡が赤く残っていた。凄い抵抗したんだろうな。唇も噛み締めすぎて血が出ているし、これは、そんな…
肌蹴たワイシャツから見える首筋には赤い跡が沢山残っていた。

何も言えなくて、眼を開いたままでいるとそんな俺を見た名前はまた眼からぶわっと涙が流れ謝るんじゃなくて悲痛の叫びをあげた。

「うあ゛ぁああああぁっ!!」

俺はそんな名前を見て何て言えばいいのか分からないままただ、力強く抱きしめた。

「ごめんなっ。ごめん」

今度は俺が謝る番だ。悔しさとどうしようもない怒りが溢れ出す。

「俺がもっと早く助けに来てればっ」

そしたらお前はこんなに傷つかなかっただろう。こんなに自分を思いつめたりもしなかったのに…
許せねぇよ。こんなに人を憎んだの初めてだっ

「名前は今でも俺を愛してんだろ?なら、帰ってきてくれよ」

「駄目だよっ。だっ、て」

それ以上言わなくていいて意味でより一層強く抱きしめる。他の男に抱かれたってお前が望んだことじゃない事くらいわかってっからよ。

「例え子供が出来てたってお前の子なんだから、俺が父親だっ」

誰もお前を責めたりしねぇよ。

「何があったって名前は俺の奥さんだろ?」

俺もいつのまにか泣きそうになっていて声は掠れていた。自分が傷つけられるよりもすげぇ痛い。

弱々しく「たけ、し」と名前は俺の名前を呼んで俺の背に手を回し、また声をあげて泣いた。
受け入れるしかない事実は残酷だけれどそれがどうしたっていうんだ。俺なんかより名前の方が辛くて苦しいんだ。
なぁ、お前がどう思ったって俺はお前を手放す気はねぇからな?

に手を添え、キスをした

(ねぇ、武)
(今からシてよ。)

(そしたら武の子かも)
(しれないでしょ?)




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