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―ビュッ

あーあ、また誰か咬み殺されてるよ。
飽きないよねーあの人も、忙しいんだか暇人なんだかよく分かんないや。

応接室の社長椅子に座って窓を覗くと桜の木の下で雲雀が暴れていた。
うわっ、もう血だらけじゃん!
救急車呼ぶからいいのか
私も群れてる人間とかうざいのは好きじゃないから特に何を言うわけでもないけどね。
ただ、可哀想だよね。痛そうだし…
"痛そう"じゃなくて痛いんだけどと、思うけど。

て、事で私は殴られてるあんたらを可哀想だと思ったんだからあんたらも私を可哀想だと思いやがれ。

こんな狭い部屋に閉じ込められてるんだよ?
学校に来たらすぐ此処にこないと私の友達が咬み殺されちゃうし?もう、脅しじゃない?最低じゃない?
籠の中の鳥になんてなってやるもんですか!…反抗心だけはあるんだけどなぁ。

うわっこっち見てるよ…
悪どい笑みぃ…なにさ笑うな恐ろしい!イラってすんだけど、窓ガラス割って飛び降りてやろうかな。

窓を開けて身を乗り出したら雲雀は目を細めて睨んできた。
だから、笑ってんじゃねーよ。
落ちたら受けとめられるんだろうなぁ…
いや、自惚れてるわけじゃないけどさ、なんかあいつ私がすげぇ大事見たい。

桜の木の下で倒れる複数の重症者達、
桜の木の上に近い窓から身を乗り出す私、
重症者の周りで佇む雲雀恭弥は私を見て言うのだ

「君は傷つけない」

今更だよね、私の心はもうボロボロだよ。
大して会話もしないし眼も合わせた事ない
応接室に閉じ込められて、逃げられなくて、青春を盗られて、その上自由さえ奪われるの?
自分を自分で傷つけようが勝手じゃないか

「誰を見てるのよ!」

飛び降りた。意外に速度が速くて目をつぶった。このまま落ちれば大丈夫かっこよく二本足で立てる!骨折するかもだけど!そんな覚悟をしてたのに足に痛みなどなくて、肩と膝を支えられた感じがした。

「傷つかないでよ」

上から降ってきた言葉に自分は彼に受け止められたのかと理解した。
雲雀、あんたは誰を見てるの?
傷ついていけないのは何故?
どうして私なの?
ちゃんと説明してよ!

わたしは誰の代わり?

(あなたは間違ってる!)
(私はワタシであって)
(他の誰でもないんだよ)




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