いつも君は、さよならを言わせてくれない 流れる時は残酷なほどに 財団の仕事を終わらせ家に戻ると君は台所の椅子に居て僕を待っている。 「おかえり。」 毎回毎回夜中に帰って来るのに文句ひとつ言わず温かいご飯を僕に出してくれる。 本当は眠いだろうに…「お疲れ様」そう言って食後に出してくれる緑茶はとても美味しい。 君は僕には不似合いだ。 無愛想な僕に表情豊かな君冷たい僕に、優しい君。まるで正反対。僕となんか 一緒にいても君は幸せになれないし、君が思っている理想の未来にはなるはずがない。 朝早く仕事にでる僕の為に朝ごはんとお弁当を作ってくれる。だけど、その時間に会話はない。 こうやって夜中に帰って来ても君にかまってあげられない。 休みなんてほとんどないし、あったとしても君は僕に気遣い「疲れているんだから今日はゆっくりしよう」と言ってせっかくの休日も僕の制でパァだ。 「ねぇ」 「何?」 話かければ嬉しそうに返事をして僕を惑わす。 僕は今君を突き放そうとした。 マフィアなどとそんな関係の深くない君ならまだ間に合う、僕なんかじゃなく君をもっと理解できて傍に入れる奴の方がいいだろう。 と、思っているのに… 君を他の誰にも渡したくない、誰よりも君の傍に居たい、僕のモノで居てほしいと思う自分が居る。 「明日はどこか出掛けよう」 「うん!!」 そんな言葉に眼が潤む君が可愛くて、「別れよう」が言えないままでいつから僕はこんな優柔不断になったんだ? 「どこに行きたい?」 「雲雀さんはどこに?」 「群れてない場所」 「…どこか行く気あります?」 涙目になった君は必死に涙をこらえる。 きっと僕が別れを告げたら、君は大粒の涙を流すのだろうか? 涙の理由を僕は知らない (雲雀さんは優しい人です) (いつ別れを言われるか) (とても怖いです) (貴方から明日を告げられる事) (私にはとても嬉しい。) |