ずっとずっと甘く見ていた。 人生なんて上手く行かないな。 夢のような時間だった。 いや、夢だったのかもしれない。 マフィアのボスの彼に恋して、家族を捨てて一緒に居ることを選んだ。 仕事が忙しいディーノは休みの日いつも一緒に居てくれた。 庭で散歩したり。 ちょっとバーにでかけたり。 楽しかった。 初めて婚約者だとパーティーに招待してくれた時なんて私その場で嬉し過ぎて死かと思った。 幸せ、幸せ、これが幸せだ! たとえ、肉親を捨てたとしても… 親友を裏切ったとしても! 貴方と一緒に居たかったんだもの。 ディーノに愛されて居たかったんだもの。 血で汚れたって構わない。 だってディーノと一緒の色になれるんだから私は喜んでその色に染まるわ。 喜んで、、 「今、何て…?」 「名前の両親はもういない」 「母さん達が!?何で!?」 慌てる私の頭を貴方は優しく撫でた。 「名前の母さんだけじゃないぜ?」 「え?」 扉が開いてロマーリオが私に叫ぶ。 嘘だ嘘だ嘘、嘘、嘘!! 私に関係する人が一人残らずいない? 嫌、殺された? 可笑しい。オカシイ! 「やっぱり」 頭が混乱状態の私に貴方は言った。優しく私を抱き締めて、壊れ物を触るかのように私の頬に触れた手。大きくて、冷たい。 「名前は家族を捨て切れてもいねぇし、友人を裏切る事もしてないぜ?」 「何を、」 何を言ってるの? 「俺なずっと考えてたんだ。俺の為に家族と友人達から離れさしちまった。て、」 「そんな事私が選んだ事で、」 「でも、お前の心はいつも俺の元に無かった。任務から帰って来たって、一緒に居たって、出掛けたって、名前は俺を見ているだけで、傍にいるだけだっただろ」 「違うよ!私は」 「あぁ、わかってる」 苦しい位に抱きよせられて、哀しい声で貴方は話す。 「もう、いいんだ。これで名前は俺以外の事を考えられないんだから。」 罪深き純愛 (何だか自分が馬鹿みたい) (!?何でだよ!) (私も貴方と同じ事考えてた) (!!) |