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ただ、愛して居たかった。
それなのに君はそれさえも許してくれないの?

愛が欲しかったわけじゃない。
ただ、一度だけでも俺を見てほしかった。

「ツナ」て名前が俺を呼ぶたびに。

凄くうれしくて。もう、これ以上何もいらないていえるほどだったのに…

なのに、君はもう俺の名前を呼ぶことはない。
小さな君の手に俺の手を重ねる。

冷たくて、固くて、握り返してはくれない手…

その手を握っていれば名前はもう一度、俺の名前を呼んで起き上がってくれるかな?そんな事を考えるとちょっと後悔しちゃうかな。

でも君が呼ぶ名は違うだろうな、君がいつも見てたのは彼だもんね。

その彼は今、君の死を知りもしないで仲間のために平然と人を殺めているんだよ?

君の愛に気づかない振りをして、君を傷つけたんだ―…

誰のためなんかじゃない、俺は名前のためにこうしたんだ。
愛のためだよ?
名前は解ってくれるでしょ?

君の血を浴びた俺は、君の苦しむ顔を見たくなかったんだ。
名前が他の男に恋い焦がれる姿なんて見たくなかった…だけだ…

左手から滑り落ちる、拳銃。

真っ赤に染まった俺の手。
俺が、君を愛した証拠。


――‐―‐…さぁ…
そろそろ彼が帰って来るね


「一体どうしたんだ!?」

仕事から帰って来た彼は俺の元へ駆けつける。

「っ、名前が、死んだっ。」

涙ながら彼に答える。そう、殺された。
お前の所為で彼女は殺された。

「!!んなっ、まさか…」

そうだ苦しめばいい。
彼女はそれほどまでにつらかったんだ!

「わりぃっ…俺は名前の約束守れなかったっ。あいつの手伝い何にもできなかったな…」

え?

「て、つだい?」

彼は泣きながら言う。

「あいつ、お前の事が好きだったんだ。」

何を言ってるの?

「俺、協力するっていってなんにもできなかった…」

「う、嘘だ!名前は…っ」

嘘だ、嘘だ、嘘だ!!!!
そんな、今さらそんな事!

「嘘なんかじゃねぇ!!あいつよくお前の髪撫でてただろ?」

子供扱いされてたんだよ!!

「あれは特別だ」

―‐―‐―……

知りたくなかった、知ってしまった。
止まらない。後悔と涙が止まらない、

好きだった、愛していた君を見ていた。

ずっと見ていたはずなのに、俺の視界には名前しかいなかったのにっ

彼女に会うときは彼と行動が一緒の時だったのは…ー

視界

(結局俺は自分の事しか)
(見ていなかったんだ)



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