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「今日、彼氏の家に泊まる」

なーんて冗談のつもりで言ったんだけどな…お母さんに。
大抵の事はお母さんの許可を取ればいい。

我が家に居候や問題が多いのはツナ兄の交渉が上手いからだろう。
まぁ、楽しいからいいけど。

でも、あんま話すこともないし話したとして口論になるのが目に見えてる。
駄目ツナなんて言われてるけどあの人はただ「やろうとしない」だけ。
妹として恥ずかしい…

居候が増えるのと同時にツナ兄がよくイライラしている事が増えた。
そんな兄に不満が増える私は友達の家に泊まりに行く事が増えた。

お母さんはそれに気づいてか快く了承してくれる。
全部ツナ兄の制だし―

「あらぁ、大胆」

私の眼を見て直ぐに嘘だと気づいたお母さんはクスッと笑った後に話に乗ってくれた。
あぁ、お父さんだったらこんな冗談絶対通じないよ。

そして、私は実の兄を甘く見ていた。
まさかのまさかで、テレビを見て笑っていたはずのツナが目を見開いてこっちを向いてきた。

「彼氏!?そんなの聞いてないよ!?つーか、泊り?」

「いってないもん。泊り」
「駄目に決まってんだろ!」

冗談通事ねぇ男だな…
お母さん!腹かかえて笑い堪えてないで否定してよ。
大体、性格悪いに加えて過保護て最悪な組み合わせじゃない!

「そんな驚かないでよ。あたしだって年頃の女の子なんだから」

「驚くだろ!名前今までそーゆぅ事に興味なさげだったし…」

「まぁ、他人の色恋には興味ないけど…私にだって好きな人くらい居たの!」

「名前らしいね。他人の幸せとかどーでもいいんだ。だからって泊りておかしくね?」

私に彼氏居たらそんなにおかしいか!
確かに他人の幸せとかそんなん興味ないよ?
腹立…つて、どんだけ腐ってんだ自分!
あぁ、ほんっとこんなんだから本当に彼氏できないんだよね。第一好きな人なんていないし…
なに意地張ってんだよ!

お母さんと話は付けたからツナの話を受け流して出掛けようとしたんだけど…
なんで後ろ付いてくんのよ!

靴を履く時も隣で愚痴愚痴と、しまいには一緒に外に出るから家の前で止まった。
やっと止まったかて、安心した顔するツナ兄は今だに私が彼氏の家に泊まると思ってんのか。

「ツナ兄…しつこい」

「な!人が心配してるってーのに!」

「…バッカじゃないの」

「お前のが馬鹿だろ!男の家に泊まりに行くって―のはだな、」

真剣に談義するツナ兄を見ておもわず私も笑ってしまった。
怪訝な顔をして荷物をもった私の右手を掴んで家の中に入ろうとするツナ兄がなんだかあらためて兄らしいと思った。
どうやら、悪いのは口だけで心配性だったんだね。

「彼氏じゃないよ」

「は?」

「友達の家に行くの。勿論女ね」

「…ほんとに?」

怒られると思ったが以外にもその場にしゃがみ込んで「よかったー」てため息をいていた。
私はその隣に取り合えずしゃがんだ。

「…彼氏…いんの?」

「ふっ、…いないよ」

「鼻で笑うな!好きな奴は?」

「いない」

あんたはお父さんか!めずらしくツナ兄の肩に寄りかかって見ると意外にガッチリしていた。
やっぱり男の子なんだなー

「ぶっちゃけるとさ」

「いるのか!?」

「ツナ兄が私の初恋なんだ」

でも、兄妹だし。小さい頃のお話。
たぶんあなた以上の人はいないと思う、

嫌いで、愛しい私の兄さん…
あなたにとって私が妹なら、どうか私を1人にしてください。

互いに灯を消しあう

(俺もお前が初恋で)
(これからもずっと)
(その初恋は実れないまま)

((だったらいっそ、))
((諦めるしかない)よね)


○初の短編で兄妹!なんじゃこりゃ


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