log | ナノ



手を伸ばしても届かなくて、でも、それは自分に自信がない所為だって事はよくわかっていた。武兄はそう簡単に人を拒んだりするような人間じゃないって事くらいわかっているのにその無垢な笑顔を見るたびに怖くなってしまうんです。同じ兄妹なのになんで此処まで違うんだろう?兄は頭は悪いけど頭の回転は速くて運動もできて明るくて頼りになる優しい人だから男女関係なく好かれて人望が厚い。それなのに私は平凡より下でとりえは何一つないし容量も悪い。唯一似てるとことは笑みを絶やさないとこ。その笑みも武兄とはまったく意味が違うけどね。私の笑みはただの無なのだ、顔に鼻と口がついている見たいに元々この顔ですと言わんばかりに笑みを絶やさないようにしている。別に楽しいわけじゃない、ちゃんと空気を読んでその場にあった顔を作る時もある。だけど大半は笑み。

武兄が私の笑顔をが好きだって言ってくれたからってのもあるけど大体皆笑っている私を好いてくれる。だから私もこれでいいと思う。決して嫌な事が合ってもこの顔を崩さず「だいじょうぶだよ」と言う。

昔は私と野球だけを見てくれていたのに今では友達と野球中心になってしまった。ああ、もう私は独り立ちしなきゃいけないのか。いつまでも隣を歩けるんじゃないかってのは夢のまた夢だ。今はいないけどそのうち彼女とか作って家につれてきたりするのかな?そしたら私はどこにいけばいいのかな?彼女さんと仲良くなれるかな?ならないと駄目だよね。武兄が困るもん。
私は武兄が本当に好きだから武兄を悲しませたくないもん。ううん。好きだけじゃない愛してるんだよ。1人の男性として愛してるの大切な人で本当は誰にも盗られたくない。今でもずっと思ってるよ?どうして兄妹なんだろうって、血のつながりの所為で私は一生妹としてしか見てもらえない。酷いよ辛いよ。なんて涙で枕を濡らす日もあったけどプラス思考にかんがえるとこのポジションが一番武兄を守れるんだよね。

「お前、変わったな」

そうかな?私は高校生になって武兄は今年で卒業だ歳をとるにつれて会話は減った。最近私の部屋にくることのなくなった武兄が来て喜んだのはつかの間でムスっとした顔で武兄は「変わったな」と言ったのだ。机の近くに腰をおろした武兄は眉間に皺を寄せたまま私を見つめて来る。ベットに寝っ転がって雑誌を読んでいた私は上半身を起き上がらせて笑みを崩さないように手を握りしめ「そうかな」と返すのだ。
自分でも思うに変わったと思う。武兄と似たくなくて同じ色の黒髪を茶色に染めてきっと伸ばしたら武兄の髪はストレートになると思いパーマをかけた。武兄とそっくりな眼も化粧をして原形がなくなるようにもしている。武兄の好みのタイプとはかけ離れてしまった私。かけ離れていけば行くほど私はモテるようになったんだよ?武兄は知らないかもしれないけど私ね結構人気あるみたいなんて本当に好きな人に好かれなきゃ意味ないんだけどさ。

「どうして俺の前でも作るんだよ」

「作ってないよ?これが素だよ」

「いや、違うだろ」

「どうしたの武兄?何かあったの?」

「俺じゃなくて名前の事を「ツナ君達さ、卒業後イタリアに行くんだってね」!」

話しを逸らしたわけじゃない。最初から武兄はこの話をしに私の部屋に来たんだから。武兄がムスっとした顔で私の前に現れる時は相談したいとき何かに怒ってる時だ。本題の事は決して自分から言おうとしないまず私の何かに触れてそこから私が話を持っていく。ほらね、「ああ、それでな…」正直に話し始めた。そんな武兄の傍に座って話をうんうんと聞く。武兄は家族思いだし仲間思いだから悩んでるんだよね。自分もツナ君達についていこうかそれとも家族の傍に居て野球選手を目指そうか。どっちも大切で選べないんだよね。私と友達かと言えば友達を選んだ癖にばか見たい。呆れた顔を出さないように真顔で首を縦に時々振りながら聞く。こんなに近くにいるのに武兄は遠いなあ。

「向こうに行ったら俺は俺じゃなくなるかもしれない」

それが怖いんだ。なんて助けを求める眼でみないでよ。武兄の目は純粋でその本質を捉えてしまうから私は自分を見透かされてしまいそうで武兄に見つめられるのは好きじゃない。気づかれないように眼をそらして武兄の大きな男らしい手を握り締める。

「武兄は私に変わったって言ったね」

「…ごめんな。そんなことないよな」

「ううん。中身は良く分からないけど外見は昔とだいぶ違くなったでしょ」

中身も変わったと言いたげな顔をしてたけど気にしないふり。

「武兄は私が変わたからもう家族として見てくれないの?」

「!そんな訳ねーだろ!名前は俺の大事な妹だぜ?」

大事な妹ね、あえて私は妹って言わなかったのに武兄はあっさり私を妹だって言うんだ。まあ、それ以上も以下もないよね私の存在は。

「私だってそうだよ。武兄は私の大事なお兄ちゃん。どんなに変わったって例え武兄が私を嫌いになったって会えなくなったって殺そうとしたって武兄は私のお兄ちゃんだよ」

ねえ、私は笑えてるかな?武兄に私はどんな風に映ってる?平凡な生活を送る大切な相談に乗ってくれる仲のいい妹?守らなきゃいけないと思う重荷でもあるのかな。
一瞬驚いた顔をした武兄は爽やかな笑みになって私の頭をわしゃわしゃと撫でて「ありがとな」と言った。そして悩みを解決した武兄は私を抱きしめてぽんぽんと2回背中を軽く叩くのだ。お礼のつもりか分からないけどこの仕草に毎回期待してしまう自分はほんとうに馬鹿だ。

武兄には内緒なんだけどね、私は高校を卒業したらツナ君の元で働くからイタリアに行くんだ。リボーン君になんか素質があるとか言われてねそんなのどうでもいいんだけど武兄を守れるんだったら私は殺人鬼にもなれるんだよ。だから、武兄がイタリアに行っても行かなくても私は結局武兄から離れるんだ。私の愛しいお兄ちゃん。どうか貴方はその無垢な笑みを忘れないで。

惹かれる程に報われない

(一緒に来てくれとは言えなかった)
(妹でもあって守りたい1人の女だから)

((ああ、兄妹じゃなければ))


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -