log | ナノ



泣くのが嫌いだと言った名前が誰にもバレない様な場所で声を凝らして泣いているのを俺は知っていた。実際俺にバレてるから誰にもバレてないって訳ではないんだけどきっと名前の事を凄く好きだと思ってる俺にしかこの場所は分からないと思う。一度どうして人前で泣くのが嫌なんだと聞いたことがあった。その時、名前は「一番自分が弱くなるときだから」と苦笑で話してくれた。弱くたっていいじゃないか俺が守るから。そう言いたかったけどその言葉は先に違う人に言われていた。いつも名前が泣いている時、名前の傍に居る雲雀さん。誰にもバレないんじゃなくて誰も近づかない人だから見つからないのかもしれない。それに雲雀さんが居るから名前はきっと泣けるんだろう。俺よりも強い雲雀さんだから名前を絶対守ってくれるだろう。俺なんかよりも頭がいい人だからきっと相談にのるのだってうまいんだろうな。

「名前は雲雀さんの事好きなの?」

「好きだけど、恋人とかの方じゃないよ」

「友達みたいな?」

「うーん。なんて言うんだろうね」

じゃあ、俺と名前の関係は友達なの?答えを聞くのが怖くて聞かないけどさ。俺と雲雀さんの違いを言い出したらきりがない。俺はきっと何を比べても勝てないかもしれない。それでも強がらないで泣いてほしかった。みんなは名前がほんとは凄く辛くて苦しいんだって気づいてないよ。だっていつも笑顔で誰かの相談を親身に聞いて戦闘があってもほんとは名前だって女の子で非戦闘員なのに戦おうとしてくれるから強いと思ってるんだ。修行なんかしなくていいんだよ。強くならなくていいんだ。頼られる名前を見るのが辛いんだよ。そう伝えたら君はまた笑って「ありがとう」て俺の頭を撫でるんだろうな。そしてまた彼の前で泣くんだろ?自分はそんなに辛そうに見えるかな?って私はツナの重荷なのかもしれないって涙を流すに違いない。だから無理して笑うその笑みを偽物だとは言えないのだ。

「あ、雲雀と私は幼馴染なの」

それだけじゃないでしょ。いや、2人にとってその関係でいいのかもしれないお互いがお互いの事を知っていて。名前は雲雀さんの事を誰よりも理解していてそれでいて嫌な所もいい所も全部知った上で喧嘩しても最後は仲直りできるんだ。雲雀さんも群れるのが嫌いなのに一緒に居るって事は一心同体の様に思ってるんだろう。その中にスキって感情だけで俺が入れるわけないんだ。

特別なことなんて何もできない

(傷つけられるより)
(見てるだけの方が)
(辛くて苦しいんだ)

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -