小学校、中学校と義務教育で習うことは一杯あっただろう。俺はよく知らねぇがツナの家庭教師をしてたからどんなもんを教わるとこかはある程度分かってるつもりだぞ。 人間に差をつけて能力を計り感情を成長させ社会的マナーとルールをある程度教えるんだろ?ツナもダメツナなんて呼ばれて精神的ダメージと共に心の成長になったんじゃねぇか?俺だったら殺しちまうけどそれを駄目だと教えられちまうから根っから俺とは合わない場所だ。 「名前も学校に通ってたんじゃねーのか?」 「………。」 「なんだお前。義務教育の9年間なにしてたんだ?」 「…………」 「イタリアは日本と違うってか?ん、なわけねぇだろ。せっかく親が金払ってくれてたんだろ無駄にするな」 俯いたまま口を開こうとしない名前の頭をできるだけ優しく撫でる。俺らしくもない事を言ってるのは自分でも分かってる。優しいとか慰めるとか性に合わないのも知っている。だから今日だけ特別だぞ。 「好きなだけ泣いていいんだぞ」 なあ、辛いだろ?世界で一番愛してる人間が死んだんだぞ?両親も殺されてお前が唯一頼れる男が殺されたんだ。死にたいくらい苦しい筈だろ?俺だって教え子がこうも意図も簡単に死んで腹立ってんだ。でも、俺以上にお前の方がムカついてるだろ?殺した奴を殺したい位に。世界中を敵に回しても構わないくらいに。 「…ツナは自分が死ぬ事を知っていた」 「!」 ツナには黙っとけと言われたがこの際だ、なにを言っても無表情でまるで心がどっかにあるよだったが名前はその言葉に微かに反応した。 「自分が死ねば何かが変わると思ったんだろうな」 確かに変わった。名前はツナの命と引き換えに残っている。そんな事こいつは望んでいなかったなのにアイツは勝手にその選択を誰にも話さず選んだ。俺でさえその事を知ったのはアイツが死ぬ直前だった。いつの間にかダメツナじゃなくなってたんだ。好きな女を身を張って守れるくらいになったのか。だけどやっぱり馬鹿は治ってねぇようだ。そんなんで生き延びて名前が喜ぶと思ってんのか?お前が死んでこいつが幸せになれるとでも思ったのか?今となってはその答えを聞く事はできねぇがお前が選んだ選択が間違っていたのは確かだ。 名前はな、お前が死んだって聞かされた時に泣くランボやフゥ太を「大丈夫」と言ってお前見たいに安心させる笑みを作って包み込んでなお前が冷たくなって棺桶に入ってるのを見ても涙ひとつ見せず京子やハルにまた「私は大丈夫だよ」って微笑みかけたんだ。 最初のうちはな好きな奴が死んでなんで笑ってられるんだって怒る奴もいたんだがその笑みの意味に気づいてからもう何も言えなくなったんだぞ。 しばらく経ってミルフィオーレの人間を名前が見かけちまったみたいで迷うことなく銃でそこに居た部下達を全員撃ち殺した事には俺もビックリした。 非戦闘員だったあいつが銃を撃ちこなしたんだ、沢山練習したんだろうな。返り血を浴びた名前の眼にはもう復讐しか見えてない。 泣けばいいんだ。思いっきり泣いて言いたいこと全部ぶちまければ楽になれるぞ?1人で溜めこむな。1人で復讐しようとなんかするな。お前まで死なれたら俺はどうすればいい?これ以上俺を狂わさないでくれ。 何だかんだ言って大切だった教え子が殺されてその教え子の恋人でもあり俺の好きな女が殺されたらもうこの感情を抑えられなくなっちまう。冷静さを失ったらヒットマンとして終わりだ。お前だってそれくらいわかるだろ? 笑みさえ無くなって感情も体にはない蛻の殻のようだ。部屋からも出ようとしない。ずっとツナと過ごした部屋で2人で幸せそうにお茶をしていたウットデッキにある椅子に人形のように力なく座っているんだ。 確かに外に出てまたミルフィオーレの奴らを見つけちまったらこの前のような事が起きちまうから他の奴等はなんも言わねぇがおかしいだろ。 こいつは元気に笑ってはしゃいで庭を駆け回ってればいいんだ。 「どうすればお前は泣くんだ?」 お前には向かい側の椅子に座るツナが見えるのか?だったら俺にも見せてくれ。俺にもこの感情の失い方を教えてくれよ。 優しい人に泣かされる リボーンが辛そうに私を見てる。 いつもキリッとした目なのになんでだろう? 「どうすればお前は泣くんだ?」 どうしてそんなに泣いてほしいの? 泣いたらきっと止まらなくなるわ。 皆に哀しい思いをさせてしまうもの。 それにね、私はもう一杯泣いたから大丈夫よ。 ツナが死んだって聞いた日の夜にね部屋に戻ったらツナからの手紙があったの。それを見たら涙が自然と出てきてね手紙が濡れてぐしゃぐしゃになって字が滲んでしまうくらい泣いてしまったの。 未来は変わるから。そしたら今度こそ名前を幸せにするよだって、私はツナと一緒に居れて幸せだったよ。だけど貴方は幸せじゃなかったんだね。 ツナの代わりになろうと取りつくろって来た笑みもね初めて人を撃った瞬間にできなくなっちゃったの。ああ、もうツナ見たいにはなれないって思ったんだ。 |