あなたが髪の長い女性が好きだといったから私は髪を伸ばすの。可愛いより綺麗な子がタイプだと聞いたから私はふわふわなワンピースを着るのをやめた。何度飲んでも慣れないお酒だってあなたのためなら飲むわ。あなたが私に人を殺せというのならやってあげる。私の友達が嫌いとあなたがいったから私、縁を切ったのよ。ねえ、あなただけの私になってる?一番愛してくれる?


「名前愛していますよ」


あなたがそう言って私の後ろ頭に優しく手を置いてキスをしてくれるから何でもできてしまいそうになるの。言葉だけで、その行動だけで舞い上がってしまうの。気持ちがあるかないかなんかどうでもよくなって私は溺れていく。ねえ、骸あなたには一体何人そんな女がいるのでしょうね。私が死んでもあなたはもしかしたら気づきもしないかもれない。ああ、ほんとうにバカな女でしょ。


「ねえ、ボンゴレ・デーチモ。どうしてあなたは私を気にかけるの?」

「そうだねえ。愛かもしれない」

「ほんとうに大空の様な人ね」


ボンゴレのボスは本当にすごい人。守護者の部下たちにも気を配ることができる、人を統べる人だと一目見てすぐに分かった。きっとこの人だから骸はマフィアを抜けないんでしょうね。どうして私はこの人の為に命を懸けたいと思えなかったんだろう。


「愛があるから教えてあげようか」

「骸以外からあまり愛だの恋だの聞きたくないわ。あなたの言葉を信じられなくなる」

「流石、骸の愛人ってだけあるね。強い人だ」

「私はだから骸に唆されたのよ、この先もずっと、あの人の言葉に惑わされ死んでいくの」

「へー、そこまでわかっていても君は骸が好きなんだね」

「一度溺れてしまうとね、いつかきっと何て考えたり、もしあの人が孤独に苛まれても私だけは傍にいてあげようって思ってしまうの」

「もしかして君″も″骸と約束したんでしょ。そーだな、例えば君は僕を信じてくれますか?とか」

「大正解よ。わたしは勿論こう答えたの。当たり前よ、あなたを愛しているものってね」


デーチモはそれを聞くとかぶりつくようにわたしの口を塞いだ。デーチモのベットの上でお互い生まれた姿のまま。諸事情は終わった後だと言うのにデーチモはまだ元気のようね。骸はきっと私とデーチモがこう言う関係だってことを知らない。誘ってきたのはデーチモの方、だから私に罪はないって訳ではないけれど偽りの愛しかない人に何を言われても今更傷つきはしないのだ。その言葉に感情はないのだから。それでも骸から離れられないのはあの呪縛のような約束の所為。1度頷いてしまえばそれを裏切る事は難しい。ああ、ほんとにずるい人。


「ねえ、 名前。オレは本当に君を想っているんだよ」

「そうね、あなたが私を本気だと言うのが本当ならこの関係は終わりにした方がよさそうね。私はデーチモを選ばないもの」

「素直だなあ。そこは少し悩んでよ」

「そうね、でも私あなたに抱きしめられるの嫌いじゃない」


そう言うとデーチモは照れ臭そうに笑って私を抱きしめてくれた。 欲を感じさせない、守ろうとしてくれるこの腕に収まっているとすごく安心するの。


黙り込んだ世界で君は声を失う


オレはどうして君に惚れちゃったんだろうね。それさえも骸の思う壺だって言うのにね。あいつは本当に最低なやつなんだよ。君が一番骸の愛人としての期間が長いのはね、オレに愛されてる君を骸が愛しているからなんだよ。いやな奴だろ?オレにこんなことで勝って優越感に浸ってさ、だから、名前はオレを好いちゃだめだよ。オレは君を使って優越感になんて浸りたくないから。




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