あの女にはなんの力もない。なのに突然俺の前に現れ意味の分からない言葉を言い出した。俺が警備の者に差し出せば不法侵入の上、煌帝国第一皇子に無礼を働いたとか向こうが勝手に罪状をつけて殺されるだろう。しかし、殺すには惜しいと思ってしまった俺はこうして食客としてこの女を城においているわけだがどうも腹が立つ。こんなに女に楯突かれたのは初めてだ。異国の女とはこうも恐れるという事を知らないのだろうか。


「今日はお前が現れた時に言っていたケイサツがなんなのか教えてくれ」


この俺が忙しい中時間をつくって部屋に訪れてやってるというのに布団の上に寝っ転がったまま溜息を吐きやがった。抑えろ、抑えるんだ俺!紅明がこいつの知識と柔軟性だけは確かだと言っていたじゃないか。


「金をもらって貴方のようにこうやっていたいけない女子の部屋にノックもせずに入ってくる奴を捕まえてくれる集団ですよ」

「おい、お前ほんとに燃やすぞ」

「どうぞ、私一回死んでますんで」

「それは初耳だな」

「聞かれなかったし」

「お前が死んだのと俺の部屋に現れたのと何か関係性があるのか?」

「あれじゃない神様がお前に第二の人生くれてやるよみたいなのじゃないの?」

「なんで態々すぐ殺されるような俺の元に?お前実はすごい罪人だったんじゃないか?」


そうだろ、いやそうだ。きっとこいつの世界にいる王に俺みたいな態度をとって打ち首になったに違いない。俺の懐の深さに感謝するんだな!


「ふう、そこまでばかにされるくらいなら私が本当にここに落ちてきた理由を伝えよう」

「お前は本当に大事なことを話さないよな殺すぞ?」

「ちょ、首絞めないで話せないじゃん」

「すまない。つい、カッとなってな」


そんな苦しくしたつもりはなかったのだが呼吸を荒くしてこれ見よがしに苦痛を訴えてきやがった。ほかの女だったら俺がこうして近づけばほほを染めるか恐怖して動けなくなるかなんだがなあ。


「早く本題を話せ」

「この鬼畜野郎、あ、すいません、話す話す話すからその剣しまって!」

「・・・・・」

「いや無言はやめよ?唯でさえ怖い顔してるんだか「言え」あのですねそれもこれもあなた方のおっしゃるルフさん達の誰かの魂がですね死んで何処かにいこうとする私の前に現れてそこからは大変ひっぱられるーと流れに身を任せていたら此処だよ!どこだよ!」

「まったく俺に関係ないじゃないか!!」

「いや、あるね!つまーり!毎日女をハベらしている紅炎殿に恨みのある女性がこうして私をつれてきたんだよきっと」

「・・・・おい、そのルフは女だったのか?」

「女だった、え、やだ、覚えあるの?」


俺に恨みのある女だと?抱かれたいだとか抱いてくださいだとか言われたことはあるが無理やりヤッたことなんてないぞ?


「あの、そんなに考えるほど?」

「俺の所為でお前には迷惑をかけているんだな」

「あ、う、うん」


そうか少しこいつに向かう態度も考えねばならんな。部屋からだなさい監禁状態にしていたが外に出してやるべきか。それともこの国で生きていく知識をもたせてやったほうがいいか。いいや、ここまで来たらこいつのことは俺が守ってやる何も知らずにこのまま暮させてやろう。


「お前のことは俺が守ってやる何も心配するな」


ひとはあたたかいいきもの


やばい。言えない。なんかすごい哀れな眼差しで見られてる。わけわからないところに連れてこられた腹いせに事実を捻じ曲げたんだがどうしたものか。その女のルフに命を懸けて紅炎様を守ってと頼まれてつれてこられたんですとか言えない。お前愛されてるよ。よかったな。




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