世の中がおかしいのは知ってる?え?おかしくないって?おかしいよ世の中。だって不幸な人がいれば幸せな人もいるんだよ?おかしくない?友達ががやがやとルックスの話をしているので私は無言で頭をフル回転させ世界に反発している。おかしいでしょ?可愛い子もいれば不細工な子もいるおかしいよ?不細工ってなんなの?可愛いってなんなの?カッコイイてなに?髪の色が皆と違うからカッコイイの?痩せているから?背が高いから?あー、もうよくわかんない。


「だから黄瀬って誰」


友達のポカンとした顔を見ながら私はグリックパックの豆乳をすすった。もう中学といい高校といい黄瀬くんキセリョ涼太君て誰?ジャニーズ?俳優?テレビで見たことないけど若い子に人気なの?もう一年の夏休みも終わりダラダラした二学期の中間に私は三年間抱え混んだ疑問を吐き出してみた。何故か昼休みでうるさいはずのクラスも静まり返った。なんだなんだなんだよ。なんでこいつ何言ってんの?みたいな目でみてくるのさ。友達五人は空いた口を塞いで少し考えた後それぞれ落ち着けとか周りを見るなとか寧ろ落ち着けよ。あやちゃん(友達)が私の弁当をどかして目の前に先程読んでいた雑誌を広げてきた。あ、弁当まだ食べ終わってないのに....あとなんか後ろから突き刺さるような目線を感じる。気にしないようにしよ。うわ、雑誌両面に載ってる金髪.......あれ、やば、これ、うわ。苦笑いで顔をあげた私と呆れた顔をしている友人達。私、後ろ振り向けないよ、だってこれクラスメイトじゃん。確か今日もいたじゃん!


存在を依存してまでも


彼は勿論事の初めから終わりまで聞いていた。そしてプライドの高いうえナルシストの彼に私は多大なダメージを与えてしまったらしい。バスケ部員の方々にどうにかしろと責められた私はとりあえずほかの女子みたいに黄瀬君モデル(笑)なんだすごいねー!てさりげなく話しかけた(これが人生初の黄瀬との会話である)が「いや、俺なんてほんとしがない読モっスよ」と彼からは絶対に出ないであろう発言をされた。そしてこの作戦は失敗に終わった。バスケ部主将の笠松先輩にはもう黄瀬が立ち直らない所為で昼休みの間説教をされるし、まったくたまったもんじゃないよくそ!お前女の子苦手なんじゃないのかとさりげなく聞いてみたらこのままでは部の将来に関わるといわれ彼なりに頑張って私にせっしているらしい。だからお前も頑張れって言われても知るか。正直もうめんどくさいよ私はどうすればいいのさ。大人しくなっていいんじゃない?ほら、萎れてる黄瀬君もモテモテだし!問題ないと思う!女の子にモテモテっていいね!うらやましいよ!私も黄瀬君みたいなイケメンに生まれたかった!と私はすべてをやる気なさそうにシュートを打つ彼にぶちまけた。勿論、バスケ部のみなさんもいた。だが私は気にしない笠松先輩のお説教dayはもういいんだよ!友達とわきゃわきゃごはん食べたいんだよ!こんなに私がんばったのに笠松先輩からは体育館追い出されるし小堀さんは何を思ったかポカリと肩ポンされた。まあ、追い出されて帰る私ではない様子を何処からとは言えないが伺えば黄瀬はどうやら元気を取り戻し活気に溢れていたので私は元の日常を手に入れたのだ。

ハズだったのだ。

よーし、寝るぞとアラーム確認のため携帯開くと知らぬアドレスからメールが来ていていまどきメールってめずらしいなあ。とあるアプリじゃないのかとか開いてみると、はい、なにこいつ。黄瀬からだった。私の友達からアドレスを聞き出した上に電話番号まで聞いたらしい。内容が1時間以内に返信こなければ電話するとのことで鬼電されていた。また落ち込まれたらめんどいのでちゃんと言い訳をして返してやればなぜかそれから返信続くし朝もフレンドリーに話しかけてくるし「名前っち」てかわいくない呼び方されるわで女子の目は痛いのなんのって。「やめろ黄瀬が私にべたつくと友達いなくなるまじで」と言えば「女子ってこれだから嫌なんスよねー!つか、それって友達っていうの?俺がいるからいいじゃん」とかゲス黄瀬発動してるよ。


「名前っち〜かえるっスよ?」

「いや、なんで一緒に帰るみたいになってるの?」

「え〜!今更そんなこと言うんスか!?」

「部活は?」

「心配してくたんスね!大丈夫今日は休みだから」

「いや、ちがうからね!断じて違う!」

「ほらほら、いくッスよ!」

「押すな自分の足がどれだけ長いと思ってんだ歩幅がちがうんだよ!」

「あー、足短いって大変ッスね」


なんやかんやとこんな会話を広げている私は女子から集中攻撃をされていない。いや、やっぱり敵視はされる。だがしかし「俺、女子に貶されたのも嫌われも好かれもしなかったのも本音を言われたのも素をさらけ出せたのも名前っちが初めてで本当にこの学校に来てよかったと思ってるんスよ!」いや貶した覚えもないがな確かに好きでも嫌いでもないあえてよかった発言は少々うれしかった。「早くキセキの皆にめちゃくちゃいい友達ができたって紹介したいんだよね!」これをあんな笑顔で言われたら邪険にも扱えないです。




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