スペルビ・スクアーロと言う男はなんとも単純で頭が良くてうるさいけど男らしい素敵な人だった。それでいてかっこいいのだ。銀の長髪なんて珍しいから目立つと思うでしょ?それが彼ならまるで普通の事のようになるのだ。血統書の犬が服を着てても違和感がないのとおなじように彼の異様さは顔でカバーされてると私は思う。おまけにここはイタリアの某大学だ。色んな人がいる。私の年下の幼馴染みで正ちゃんてのがいるんだがあの子もなかなか異様だから私はきっとそーゆうのに敏感なんだろうな。だから彼が此処にいることに不自然さを感じるのだろう。初めて彼を見たときの感想は絶対こいつ一年で単位足りなくて辞めるなだった。まず目つきが厳つすぎてペンを握るより銃を持ってそうだったのだ。あ、男らしいの説明ができていなかった。そう彼の勇ましさを知ったのは私と彼が仲良くなるきっかけにもなったのだ。課題で論文を作成しなければならなかった私はその日図書館に遅くまで残り気づいたら閉館時間になっていたのだ。外は真っ暗で少し肌寒かったんだけどこんなブサイク誰も襲わないだろうと思い鼻歌を歌いながら自宅に向かっていた。そしたら突然変なおじさんが現れてイタリア語ぺらぺーら早口で話して私を追いかけてきたのだ。早すぎて何話してるのか聞き取れなかったあああ。全力疾走した。もう凄い追いかけっこだった私的には、でも途中で気づいた。私、人気のないとこに追い詰められていると!気づかないほど馬鹿じゃない!つまり私を追いかけてくるおじさんはタダの酔っぱらいでも変出者でもないのだ馬鹿じゃないから。お父さんお母さんごめんなさい。二人よりも先に旅立ってしまうことをお許しくださいと涙ぐんでいたら「ヴォオオオイ」と正面から唸り声が聞こえ目を凝らしてみると悪人面したスペルビ・スクアーロが立ちはだかっていたのだ。いつもなら「げっ」と言って通り道を変えるが今日は話が違う神様仏様スクアーロ様どうかあのおっさんを懲らしめてくださいいいいい勢いあまり過ぎて突撃してしまったがスクアーロは倒れる訳でもなく私をしっかり受け止めてくれた。逆にわたしの顔面がいたかった。堅い体してるなちきしょー!だけどその持ち前の体を使って痴漢?を撃退してくれたのだ。よかったよかった。スーツ着て追いかけてくるってこのおじさん一体なんなんだよ!スクアーロに聞いても変態だとしか言わないし、その割には警察に通報すると思いきや全然違う雰囲気の人に電話かけてるしなんなのさもー。ごちゃごちゃに巻き込まれたらめんどくさいので帰ることにしたらスクアーロに送ってくと腕を掴まれ引きずられた。強引だな!まあ、紳士てことにしとこう。それから、スクアーロと話すようになった。勉強を教わるようになった。買い食いばかりしているスクアーロにお弁当を作るようになった。私は痴漢の出来事など忘れてすごした。嘘、ほんとは気になってた。あの出来事からスクアーロが傍にいるようになったから。彼は私を見張っているのだほかの人にあの出来事を露見しないか。だってあれは痴漢じゃないどう考えても危ない人だ。きっと図書館の帰り道にわたしは見てはいけないものを見てしまったんだ。それが何かわからないけど。スクアーロがあまりにも表情の変化を見せるからそれでもいいように思えてしまった。私の部屋に上がる時の照れた顔、私が作ったご飯を食べるときの笑った顔、二人で街を歩いた時の獣のような顔、ベットに押し倒してきた時の苦しそうに縋るようなかれの顔が私は一番好きだと思った。この良く分からない関係でも問題なかった。朝、目が覚めてスクアーロが居るだけで私は幸せになれたから。それなのに、それ以上を臨んでいなかった私から彼は意図も簡単に去って行くのだ。いや、スクアーロは悪くない。悪くないけど私のこの悲しさをどこかに向けたかった。


「ヴぉおおい!名前」

「寄らないで」


今日もご飯を食べに来るって行ったじゃない。その長い髪を後ろで一つにまとめ口角を上げて玄関で立っててよ。そしたら私は身だしなみを気にしながらもゆっくりドアを開けるの。


「どうして」

「そりゃあこっちの台詞だぁ!」

「だってスクアーロが」

「なんで来やがった!!」


うるさいうるさいうるさい怒鳴らないでよ!スクアーロが来なかったから探しに来たんじゃない。なにかあったのかもしれないと思って、だってわたし貴方を愛してしまったから。口には絶対に出さないけれど。不安だったんだよ。なんの連絡もないしだから、探しに来たんじゃない。


「アホが」

「うるさい」

「ヴぉい、ちゃんと俺を見ろ」


あの日スクアーロと初めて会った路地に私は向かっていた。探すのではなく私は確かにそこにスクアーロが居ると思ったんだ。理由なんかない感だった。その予想は的中して黒服の屍の中心には血塗れで刀を握った彼が凛々しく立っていた。信じたくないスクアーロが人を殺したなんて。それなのに私の心の何処かでやっぱりそうだったんだという気持ちがある。


「お前が今日の事を忘れるなら俺はまたお前といられる」

「わたし、ずっとスクアーロといたかった」

「俺だってそうだ」

「でも、私にとって貴方は殺人犯だわ」


スクアーロは一瞬だけだけど目を見開いたけれど直ぐに狂気を含んだ笑みに変わり。刀を私に向け振り上げる。ずるいよスクアーロ。私とずっと一緒にいる気なんてなかった癖に。裏の仕事をするのに恋人役てのが欲しかったんでしょ。私そんな頭の悪い女じゃないわ。


愛してると繰り返すだけなら誰にでもできるので、


「あーあ、殺しちゃったんだーこの女」

「ヴぉい!無駄口叩いてないでいくぞぉ!」

「ししっ。愛してるだなんだって言ってやればこの女黙ってたぜ絶対」

「....名前は俺を最初から信じちゃいねぇ」





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