瞼の奥にしか存在しない

私の愛しい弟、うずまきナルトは火影になった。第四次忍界大戦を終え綱手様から六代目火影になったのはカカシだった。素直に祝うことはしなかったけど私もカカシで賛成だ。いくらあの戦いで強さを理解したとはいえナルトはまだ若い、それに自分を庇って死んだ仲間がいるんだそう簡単にメンタル面が切り替えられるとは思えない。しかし里を抜けたサスケと和解はできた喜ばしいこともある。カカシ率いる第七班は再集結できたんだよかったねナルト。終戦をして直ぐにイタチの墓に花を添えに来た。やっと終わったんだよイタチ。マダラに捕まった私はサスケとイタチの戦いを見せられ愛する人の死を突きつけられた。好きだと言葉にできないまま別れは訪れ、喪失感と誰に向けたものなのか分からない憎しみで視界は覆われた。気づいたら酷い怪我をしているイタチに似た漆黒の綺麗な目が私を苦しそうに見ている。ああ、あの人が死ぬことを選んでまで愛した肉親の首を絞めているのか。自分が恐ろしかった、黒いチャクラに覆われ我を失いサスケを殺そうとしたことに。マダラは尾獣が憎しみにより凶暴化することを知っていて私にイタチの死に際を見せたのか...マダラに対する怒りよりも先に殺そうとしていたサスケを直ぐに抱きしめた。きっとサスケはイタチの真実をあいつに聞かされたのだろう。だから私にこうも縋りついて泣いているんだ。私も悲しいよ、サスケお前の兄さんは大馬鹿ものだよ。でもね、サスケが生きていてよかった、私の意識が戻るのが間に合って本当によかった。イタチが命を懸けて守ったんだもの死んだらだめだよ。あなたは絶対に殺させないよ私が愛した人が守った命なんだもの。そう、言えば「やっぱり好きだったんじゃないか」とサスケはまたより一層強く私を抱きしめた。それでも、もうイタチは帰ってこない。穢土転生でイタチが目の前に現れた時、ナルトの前だろうが関係なしに私はまず抱きついた。攻撃?そんなものしるか避けたわ。イタチがあらかじめナルトに仕掛けておいた術のお陰でカブトの術から逃れることができイタチは自由になった。戦争中だと分かっていたが私には私のやることがあるので思い残すことがないように好きだ馬鹿、なんで死んでんの、待ってた、会いたかった、またイタチに話を聞いてもらいたかった、ずっとあの日あんたを止めなかった事を後悔していたんだよ。そう告げればイタチは私を抱き寄せて初めてお前の泣くところを見たなんて見当違いのことを言うから軽く胸板を叩いたら頭を撫でられた。俺はお前のお陰で迷わず生きられた、里や世界が敵になろうともかおるだけは俺を信じてくれている、それだけで俺は死ぬことも怖くはなかった。ただ、友達だと言うのには解せなかったけどな。何が死ぬことも怖くはなかっただ、全然よくないよ。


「俺もお前を13年間ずっと愛している。死んだ今でもだ。だから、幸せになってくれ目一杯幸せになって笑っていてほしい」


13年間って初耳だよ。そこは、嘘でもいいから幸せにしてやるっていってよ。馬鹿、と言う前にイタチに唇を塞がれ声にはできなかったが涙は余計に溢れかえった。ナルトが横で俺、すごい邪魔者だってばよ。どうする?俺これどうする?て慌てふためいていて笑えた。私も忍だいつまでも泣いてはいられないのでイタチが望んだ笑みで彼を送り出す。単独で穢土転生を止めに向かうってことはもう会えない。きっとナルトも理解したからこそ皆んながいる戦場へ向かう間話しかけてこなかったのだろう。

戦闘員より医療忍者の方が少ないことから私は死者を出さないために怪我人の治癒に回った。まあ、それが敵の癇に障ったのか攻撃しまくられて謎だった。まあ、九尾のチャクラを扱える上にイタチとの戦いを想定して写輪眼を上手くかわせる私の敵ではないのだよぐるぐる仮面。その正体がうちはオビトでカカシに恨みを持っているとわかれば私が狙われる理由が大体察したよ。こっちは傷心中だってーのにほっといてくれよちくしょー。父さんも穢土転生で参戦したと思えば女の子が体にこんな傷作ってもうお前は向こうで待機!とかサスケは俺が兄さんの代わりにあんたを守るなんて言い始めるしそこにカカシも乱入してくるはサクラにサスケ君と家族ぐるみの付き合いしてたんですか?なんて話が広がりすぎて疲れました。

戦いは終わってイタチが望んだ平和な世になった。私も暗部を辞めて病院に勤め初め、主に忍者の治療に回り部下もできた。ナルト中心だった生活が一変して色んな人と関わり話し絆を気づくようになった。そしてナルトが火影になる一ヶ月前にカカシからプロポーズをされた。敢えて言うなら私達は付き合っていない。確かに飲みに行ったり誘われれば2人で出掛けることはあったが断じて恋人になった覚えはなかった。


「私にはずっと想っている人がいる」

「知ってるよ。手強いライバルだって昔から思ってたからネ。それでもいい、一緒にいたいんだ。」


もう一度言うが、私とカカシはカップルだったわけでも体の関係は...大人の事情である。そんなこんなで私達は晴れて夫婦になった。外野からはやっとかとかサクラやナルトには盛大に喜ばれた。そりゃまあ、カカシが可哀想だというファンの女子からブーイングもあったがこればかりはカカシの懐の深さに甘えるしかないのだ。こんな私を愛してくれてありがとう。父さんが亡くなってからも変わらず私を心配してくれていた人、お節介に嫌気がさしていたり過度な接触にうんざりしていたが私を意図も簡単に泣かす事ができるのも甘やかしてくれるのもカカシだった。イタチが死んでサスケやオビトから逃げ出し里に何事もなかったかのように帰った私の異変に気付いたのはカカシで、例え里にとったらS級犯罪者だろうが俺にとったら奴は後輩だった。お前にとってもただの同僚以上の何かがあったんだろ、俺の前ではもう自分にウソをつくのはやめてくれ。カカシの優しさに甘え私は彼の背中を借り絶対に振り向かないでと注意し声を堪えて泣いた。もし、あの時カカシが支えてくれなければ父さん達が亡くなった時のように私は誰にも心を開くことなく生きていただろう。沢山、カカシに支えられてきたんだなあ。


死んだ人間には勝てないさ、特にイタチには一生追いつけそうにないなと苦笑いしたカカシに昔はもっと自信で溢れてたのになんて可愛くない事を言ってしまう私。
まだ素直にはなれそうにないけれど、
私は今、幸せだよといつか言ってあげよう。



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