倫理は僕らに跪く

次の試合はシカマルと音のくノ一でなんとゆうかあっさりとした綺麗な勝負だった。流石シカクさんの息子だなあ、この中で言ったら1番性格がいいのは彼なのかもね。そして次はナルトの番であるハヤテから「くれぐれも試験官と言う立場を忘れないように」と忠告を受け手を出さないように目をつぶって座禅組む。あのガキは昔からナルトと遊んだりふざけたりしていたが心底バカにしてナルトを下に見ていたからなできることなら半殺しにしたいぐらいだ。幼いナルトにどんな子がクラスに居るの?と聞いた時キバのことはうぜえ奴と言っていたしな元気がいいのはいいことだが少し黙らしたいな。あ、心頭滅却だった。


「カ、カカシ先生...かおるさん何やってるんですか?」

「ああ、あいつ重度のシスコンだからナルトが傷つくようなことは嫌で下手したら自分が手を出してしまうかもしれないから無心にでもなろうとしてるんじゃない?」

「ええ!!じゃあ何で試験官に選ばれたんですか!?」

「試験官にしないとあいつ是が非でもナルトを中忍にしようと動くだろうからな。例えば第一の試験じゃナルトに化けて試験を受けたり第二のサバイバル演習だったら何処かの忍びに化けて巻物をさり気なく渡したりな。あいつ腕は確かなんだが弟の事になると頭弱いんだよ。試験官って立場に置いたとしても紅なんかは気が気じゃないと思うぜ。」

「アスマ先生もかおるさんの事知ってたの!?」

「なんだイノお前も聞いたことあるだろ任務成功率100%戦場の女神様ってな」

「えええ!!あの噂のおおおお!私、頬治してもらっちゃったのに対したお礼もしてない!!まさかナルトの姉だったなんて...」


おいおい聞こえてるぞそこのギャラリー知ってるもなにもそこの上忍達一応私の先輩だからね。紅は上忍になったばかりだから先輩後輩って仲ではない。寧ろ幼い頃カカシと居た事もあってここに居るアラサー達とは関係が悪いって訳ではない、それよりも私が両親を亡くしナルト一筋で生きるのを見てきた人達で気を使われていたぐらいだ。まあ、大体上下関係を作ったとしてもこの忍び社会に対した意味はない強ければいいのだ。強ければ下に見られることも肩身を狭く生きることもない。


「医療忍術に体術、忍術、あの歳でマスターしてるんだ俺たちの世代で知らねぇ奴はいねぇがあいつ自体人が好きじゃないからな」

「人が好きじゃないって...?」

「お前達が1番その理由を知っているだろ?」


アスマの説明に続きカカシの少し責めるような問い。カカシも父親の事があるからなあ、そんな問いになってしまったんだろ。全員口を揃えて黙るあたり思い当たる節があるのか。音だけで試合を感じているがやはりキバの方が優勢みたいだし凄いもどかしいなあ。


「あいつは何よりもナルトを愛している。そして誰よりもナルトの幸せを願っているんだよ。」


そうだよ、カカシ。私はナルトの幸せな未来しか望んでいない。屁の音と共に勝利がナルトへ傾いた。あの子の笑顔が私の癒しで生きる糧なんだ。ハヤテの試合終了の掛け声と共に目を開けばナルトが満面の笑みで私にピースを向けていて私の顔も自然と綻んだ。


「あ、かおるさんどうしてキバの治療を?」

「それについては私が説明させていただきます。ゴホっ。かおるさんは今回試験官でもありますが、高度な医療技術を持っていることから早急な治療が必要だと彼女が判断した場合救急班より先に処置します。ゴホっ」

「嗅覚は犬塚一族にとって大事なものでしょ。それに私、人間は好きじゃないけど動物は凄い好きなんだよね」


赤丸君を撫で撫でしてからキバの上に乗せて救急班に運ばせる。上から多少のブーイングが聞こえるがしるかお前ら喋る元気があるならもう一戦ぐらいやらしたろうか。


次の試合はこれまたドロドロの因縁があるネジとヒナタか。開始直後からネジはもうビシバシとヒナタを倒しにかかるし正直見ていて痛々しいね。点穴を突かれるなんてたまったもんじゃないよほんと。


「ま...ますぐ...自分の言葉は...曲げない...」

「...!」

「私も...それが忍道だから...!」


ナルトに惚れてるなこの子。ナルトは気づいてないみたいだけど恋愛要素ありすぎてお姉さんからしたらなんだかむず痒いよ。そんなほのぼのした雰囲気じゃないんだけどさ試合、止めるべきかしら。強さのレベルが違いすぎるどう見たって勝負は分かりきったことだろう。隣に立つ彼に「ハヤテ...」と呼びかければ同じことを考えていたのだろう首を小さく縦にふると小さな咳をし勝負の制止にかかるがまさかのナルトがそれを阻止そるとはね。ネジが次の一手を切る前に私達上忍は一斉に止めにかかる。


「宗家とのことでもめるなと私と熱い約束をしたはずだ...!」

「...なんで他の上忍たちまで出しゃばる...宗家は特別あつかいか...」


ヒナタの心臓がより一層強く動いた。倒れる前にヒナタを支え点穴を突かれ流れなくなったチャクラの普及をする。ナルトとサクラが近づいてきたが邪魔だと一括すれば大人しく一歩下がり立ち尽くしていた。ネジはまだうじうじと言っているし、ヒナタの顔色は悪いしで忙しいなもう!落ちこぼれは落ちこぼれだとかクソ生意気なやつだな日向の才ある小僧は。ナルトはすぐ挑発に乗るしまったくリーが止めなかったら私がナルトの代わりにネジを地に伏せさせていたよ。

心室細動を起こしている!すぐに心肺蘇生に入る...私同様それに気づいた紅がネジを睨むが「オレを睨む間があったら...彼女を見た方がいいですよ」ってそうだけど腹が立つな。医療班はまだかと叫ぶ紅、何が10分だお前ら本当に経験を積んだ医者か?


「私に構わず突っ立てないでこの子を担架に乗せるなら早くのせて」

「し、しかし心肺蘇生をしながらでは」

「心室細動は時間との勝負だ!このまま緊急治療室まで飛ぶ。あんたらはしっかり担架を持って、ついたら除細動機器を直ぐに準備して!抗不整脈薬も早く!」


微量の電気をチャクラに貯め心肺蘇生を行う、これを動きながら出来る医者はいないようなので仕方ない影分身をしてもう一人にこの動作を行ってもらい私自信は印を組んで担架を掴む一人に触り舜身の術で担架と医療班を治療室まで運ぶ。あとは彼等にまかせ直ぐに会場に戻ればナルトが拳に血をつけて宣戦布告してるんだもの今の台詞録画しときたかった...


「...流石戦場の女神、医療忍術を行いながら舜身の術で担架ごと運ぶなんて...凄い」

「技術は凄いが結局はあなたも弟と同じで綺麗事を並べる偽善者なんだろう」

「てめぇ!」

「ん、ナルトお前はいちいち相手に構うな。それに仲間を応援するのはいいことだが状況をよく見ろ死んだら努力も何もないだろうが!」


私に咎められしゅんと凹んだナルトの頭を撫でてやる。でも仲間の勝利を願い信じる事はとてもいいことだよ私にはできない。
それにしてもネジはどうしてこうも捻くれてるかね。あの子はガイに怒ってもらう事にして、次の試合をするから戻れと指示を出せば皆おずおずと動きだした。

そんで何でこうもヤバイ試合が続くかね。我愛羅対リーなんて彼には申し訳ないが勝負は見えているよ。人柱力の我愛羅に勝てる訳がない。おまけに精神状態も不安定だし一尾が暴れだしたらどうするつもりなんだか。


「あの子には死んでも証明し守りたい大切なものがある。だからオレは...それを守れる男にしてやりたかった」


勝負相手が悪かったなガイ。お前の教え子はこのままじゃ無駄な戦いをするだけだ。裏蓮華を放ったリーの全身は激痛に見舞われているそれに比べ我愛羅は瓢箪を砂に変えてガードした。


「!ハヤテ!試合を止めろ!」

「えっ」


一足遅く我愛羅の砂縛柩がリーの足を捉えた。あちゃーこりゃ左手足神経までやられたね。次の攻撃はガイによって弾かれた。分からないなあ、そんなに大切な教え子なら死に急ぐような事をさせなきゃいいのに。


「なぜ...助ける...なぜ...止めようとした」

「愛すべきオレの大切な部下だ」


ガイの目は真剣だった。その言葉が我愛羅に届くかは分からないけどね。私は我愛羅の側により手を差し出す。危ないと何人かが止めてきたがお前ら私を甘く見すぎてないか?何も医療忍術だけが出来るわけじゃないんだからね。一次試験の事を思い出した我愛羅は私の手を躊躇うことなく握り立ち上がった。それに驚いた様子の砂の上忍は訝しげな顔をしていた。


「感情のままに人を殺せばお前は本当にそいつに飲み込まれるよ」


我愛羅だけに聞こえるように伝える。やめだと行って砂をしまった彼はやはりどこか思いつめた表情だった。砂の国は人柱力に厳しかったようだね。気絶してまでも戦おうとするリーに涙を流すガイ。何も心に響いてこないのは私の感情が狂っている証拠だな。近づき容態を見れば全身の粉砕骨折、筋肉断裂。あんたはこんな場所で終わっていい奴じゃないだろうに。


「私はリーの治療につく」

「わかりました。ゴホッ」


ギャーギャー騒ぐナルトにカカシが一喝しているがあんたもたぶんガイと同じ境遇だったら止められなかっただろうね。私は寧ろナルトが失格になろうが止めるかもしれない。だからナルトが私を嫌うようにしてきたのにさ、カカシのバカ。


「姉ちゃんが居るだから大丈夫だよ...な?」

「ん!ナルト、私にだってできないことはあるよ。それに私は”死んでも”なんて言葉に頼るのは好きじゃない。」


死んだら終わりなんだよ。今まで培ってきたものも築いてきた繋がりさえ無になるのさ。


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