宙兄弟
ランチタイムトラブル!



お昼のピークを過ぎた午後2時過ぎ。


「やっぱり南波さんってせりかさんの事が好きなんですかね…?」
「そーなんじゃないの?」
「新田くん、本人に確認してないのに決めつけるのはいけないよ。」

絶賛、恋バナ中!

って、あたしが勝手に真壁さんと新田さんを巻き込んで話を聞いてもらってるだけなんだけどね。


それは、さかのぼること30分ほど前の事でした…

午前中の仕事がなかなか終わらず、やっと区切りがついたので遅い昼ごはんを食べようと食堂へ向かう途中、あたしは見てしまったのです。廊下で話をしている南波さんとせりかさんを…!!
コチラに気づく様子もなく、それはもう楽しそうに!

そんな姿を目の当たりにし、足取り重く食堂に向かうと、訓練を終えた真壁さんと新田さんと一緒になったのだ。どうやら2人は訓練が押したらしい。これはもう話を聞いてもらうしかない!と2人をとっ捕まえて恋バナに付き合ってもらっているという訳なのです。はい。


「でもハタからみてりゃ、そんな感じだぜ?」
「ですよね、やっぱり…」

新田さん…。その真実の口を閉じてください、まじで。いや、でもあたしは受け入れないといけないんだよ、その事実を!

「ああぁぁぁ…!」
「うちゅうちゃん!ムッくんがそう言ってるわけじゃないから、そんなに落ち込まないで。まだ分からないよ。」

頭を抱えるあたしを真壁さんは優しく励ましてくれた。ああ、さすが所帯持ち!救世主様!
新田さんとは大違いね!

「もう告白しちまえよ。」
「…なっ!?そっ、それが出来ないから困ってるんです〜!!」
「なんで出来ないんだよ。好きだから好きっていう、それ以外に何があんだ?」
「む〜っ!!新田さんには乙女心は分からないんですよ!」

新田さんの鬼のような正論に返す言葉もなく、ただただ膨れっ面で返した。
そりゃあ、あたしだって告白したことはあるけど、今回は、その、負け戦っていうか、出来るだけ傷を負いたくないっていう…。乙女心ってかヘタレですよ、どーせ。

「クリスマスデートに誘ってみるっていうのはどう?」

救世主であるはずの真壁さんの突然の爆弾発言が、なかなか理解できず、あたしは瞬きを繰り返した。

「あたしからですか?」
「その時点でムッくんに気がなかったらOKしないだろうし。」
「確かに…」
「それかムッくんから誘うように、それとなく言ってみようか?」
「いやいやいや、それは、」

それとなくって、どんな風に!
真壁さん、それはもうあたしを誘えって強要じゃないんですか!?
それとなくって、どんなテクニックですか!

「めんどくせ…っ」
「ちょっと新田さん、あたしのクリスマスがかかってるんですよ〜っ」

めんどくさいとか言わないで下さい!
めんどくさいかもしれないけど!


その時だったー…

「あれー?みんなも遅かったの?」

突然背後から聞き慣れた声が降ってきた。まさかのご本人様登場!マジですか、どうしよう!!

「◯×△※っ!?」
「ムッくん!あれ?今からご飯?」
「そーなんだよ、バックアップクルーの訓練に入る前にバギーの設計図の最終確認してたらいつの間にかこんな時間になっちゃってさぁ。」

…さっきまでせりかさんと楽しそうにしてたくせに。
あたしの正面に座ろうとしていた南波さんに気が付かれないように一瞬だけ睨んだ。あ、やばい、あたし性格悪っ!

「そーいえばさっき、クリスマスの話してたけど、みんな予定あるの?」
「……っ!?」
「僕は家族で過ごすつもりだよ。」
「俺は別に興味ない。」

ええーっ!このタイミング?
いやいやいや、嘘でしょ?

「うちゅうちゃんは?」
「あたしは、えーっと…」

新田さん!見るなっ!
そんな目でコッチを見るなぁー!

「予定ないならパーティしない?さっきせりかさんとも話してたんだ!」


…新田さん、あたし死んだわ。ちーん。


「…い…いいですね!あたし達もパーティしたいねって話してたところだったんですよ!ねっ、新田さん!」
「はぁ?」
「そうなの?じゃあやろうか、パーティ!」
「はい、ぜひっ!ね、新田さん!」
「……。」
「じゃあ、新田も参加で。」

ごめん新田さん、巻き込んじゃって!
でも、だって、ほらっ…

「みんなでワイワイやった方が楽しいですしねーっ!」

うわー!あたしのバカバカ!
何言っちゃってんの?

「ああああ、あたしそろそろ時間なんで
、パーティの件はまた後日っ。失礼しますーっ!」

いたたまれなくなったあたしは食べ終わったトレーを持ち、一目散にデスクに戻ったのであった。
最悪だ。クリスマスなんてなくなってしまえ!



「あ、うちゅうちゃん…。行っちゃった。俺、変なこと言った?」
「「はぁ…」」
「俺、やっぱ嫌われてんのかな…。」
「いや、今のは単にタイミングが悪かったんだと思うけど…なんでパーティなの。僕はデートに誘ったら?って言ったよね?」
「いや、だって、クリスマスデートは難易度高くね?もし断られたらって思っちゃって…」
「マジでめんどくせー。」
「新田ぁー!俺の恋に協力してくれよ!」


つづく。
早くあの二人をくっつけろよ。
僕に言われたって…。
めんどくさいことになりそうだな。
そうだね…。



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