失明彼女


君は笑って僕の手を握った。
その手は震えていました…

「何も見えなくなっちゃった」

ほんとは君の方が声を上げて泣きたい筈なのに僕はそんな彼女よりも先に泣いてしまった。
どうせこの涙は彼女には見えないけれど、それでも僕が泣いては駄目なのだ。

毎日が病気との戦いで辛い筈なのに笑っているのは僕に心配を掛けさせない為なのだから。

僕が泣いていては彼女がずっと我慢しなくてはいけなくなってしまう。

「ねぇ、骸…」

握っていた手が離れて彼女の小さな手が僕の頬に触れ涙を拭う。
どうしてこうも貴女は僕の気持ちが分かってしまうんでしょうか?
今の僕が見えてるんですか?

その眼が光を失っても僕だけは見えればいいのに…

「私の名前を呼んでっ」

(骸の目の前に居るのが)
(私だって知りたいの。)



((back))


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