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もうすぐで春が来るだろうという陽気がちらつき始めたころ、高校時代からのダチで同じ大学に通う俺と政宗、慶次に佐助、幸村とお馴染みの仲間で飲みに行くことになった。


最初は5人のはずだったのだが当日になっていろんな学部の奴らが集まって、かなりの人数の大宴会になってしまったのだ。

それでもワイワイと盛り上がって、散らばっていたメンバーも自然に寄り集まった。

みんな学部が違うかったりバイトで忙しかったりとなかなか会えてなかったこともあって話も進む。

そりゃあもう何と言っても今年で6年目の付き合いなのだ(佐助と幸村はもっと長いようだが、)最初は楽しくて楽しくて仕方がなかった。



そう、最初は!



「なぁ〜まさむねぇ膝枕〜」

「An?酔っぱらってんのか?」

「あ―――っ!!慶ちゃんズルイ!俺様にも膝枕してよ〜!」

「な、破廉恥でござるぞ2人とも!!」

ぎゃあぎゃあと騒ぐ3人に元親の堪忍袋の緒も擦り切れる寸前まで来ていた。


(なんなんだよ!触んなよ!政宗は俺のだっての!だ――っ!!べたべたしやがって…!)


こうも人が多くてはこいつは俺のだと抱きよせて叫ぶこともできない(いや、別に俺は良いんだけど政宗が酷く嫌うから)。

しかもこういう時に限って席は向かいどおしで嫌でも視界に入ってくる。

一人不愉快感が募って酒を煽るペースもいつの間にか随分と早いピッチになっている。


(そもそも!政宗も政宗なんだよ!俺の気も知らねぇでへらへらしやがって…しかもちゃっかり膝枕してやってるし…!!)



そうなのだ。



政宗は抵抗の一つもしやしない。もうちょっと嫌がる素振りの一つでもしてくれればまだ耐えようがあるのだが、なんせ政宗はこの手の方向に関しては超がつくほど鈍いのだ。


政宗と思いを通わせる時もどれだけ俺が苦労したことか…!


目の前の光景をジロリと睨みつければ、そんな時に限って政宗と目が合ってしまった。

「ちか…」

眉尻を下げて申し訳なさそうに笑った政宗に、ほっと息を吐いた。


(なんだ、政宗もこの状況をちゃんと…)


「飲みすぎはダメだぜ?顔真っ赤じゃねぇかよ…」


(分かってなかった―――!!)


なんだよ、ごめんなとか、そんな言葉じゃねぇのか!?まさかの飲みすぎるなだと!?

プツリと俺の中で切れかかっていた糸がもう限界だよ言わんばかりにあっけなく音を立てて切れた。

「…帰る…」

「へ?」

短くそれだけ言って、テーブルの上に今日の参加費を置いてゆっくりと立ち上がった。
それを見て最初はきょとんとしていた政宗だったが慌てて俺も、と立ち上がろうとした。が、

「お前はもうちょっと飲んでればいいじゃねぇか。佐助や慶次と仲良くやってれば良いんじゃねぇの?」

冷たく言い放って一瞥を送った。

さっと変わる政宗の顔色。

「やぁだぁ〜チカちゃんヤキモチ〜?」

「死ね」

「もとひかろの〜八つ当たりはよくなひでござるぅ〜」

「煩い」

ちゃちゃを入れてくる佐助と、べろんべろんに酔っぱらってもう何を言ってるか分からない幸村に悪態をつくとさっさとその場を後にした。

勿論政宗に視線を送ることはなかった。






「元親…っ」

店を出て、交差点を渡ろうと足を踏み出したところで後ろから呼びとめられた。

その声は間違えるはずのない恋人のモノだったが振り向く事はなくそのまま歩き続ける。


明るいネオン街を抜けて今住んでいるアパートへと続く閑静な家路を足早に進んでいく。

自分の足音と、小走りについてくる足音だけが道に広がっていた。

「なぁ、チカ…!」

再度呼びかけられるが答える気は毛頭ない。

先ほどと同様に無視を決め込めば後ろから軽い衝撃を感じ、背中に僅かな温もりが伝わった。

ふわりと香った嗅ぎ慣れた甘い匂いに視線を落とせば白い腕が腰に巻きついていて、抱きつかれたのだと認識する。

そこでようやく足を止めれば、シンと辺りはもとの静寂を取り戻した。

「なんで置いて帰るんだよ…!」

「なんで、だぁ?自分の行動を思い返してみれば分かるだろうが」

冷たく突き放すように投げかけて、止めていた足を動かそうと一歩を踏み出す。

けれどぎゅうっとさらに込められた腕の力にそれは阻まれた。

「分かんねぇ…っなんで、怒ってんだよ?俺なんかしたか?なぁ、チカ…っ」

次第に泣き出してしまった政宗に、少々大人げなかったかと自己嫌悪に陥って、くるりと体の向きを変えて小さな体を抱きしめた。

「悪かった。ちぃと大人げなったな。」

「ふ…ぅえ…」

ポロポロと流れる滴を唇で拭ってやりながら、ゆっくりと髪を梳いた。

「オメェは俺のモンだって自覚がなさすぎンだよ。簡単に慶次や佐助に膝枕しやがって。」

「ご、め…ん」

「毎日教えてやってるってのに…まだ分かんねぇみたいだな?」



帰ったらお仕置きだな?



耳元で囁きかけた元親にびくりと政宗の肩が跳ね上がった。






「ふぁ…、あっ、あ…っ」

白い背が反りかえり宙を掻いていた腕は俺の首に巻きつけられる。

艶のある鳶色の髪を振り乱してもう無理だと泣き叫ぶが行為は止めることなく続く。

「言ったよな?“お仕置きしねぇとな”ってよ?」

にやりと口角を上げてグッと最奥を突いてやれば声にならない悲鳴を上げて政宗は達した。

荒く息をついて必死に呼吸を戻そうとするがそんな暇を与えるわけもなく、再度腰をグラインドさせて良いところを刺激してやれば精を放ったばかりにもかかわらずまた芯をもたせる政宗にクツクツと笑いを漏らした。

「んとに…政宗は淫乱だな?」

「ちが…、」

「違くねぇだろ?こんだけ腰振って、違うなんて言われても説得力に欠けるぜ?」

「ひぁ…っ!や、あぁ…、あっ、んん!」

しきりに声が漏れ閉じられることのなくなった口を塞いで深く口づける。くちゅくちゅと厭らしい音を立てて唇を離せば銀糸が二人を繋いで、てらてらと光って何とも言えない厭らしさを醸し出す。

「お前は俺のモンだ、誰にも触らせんじゃねぇよ…いいな…?」

耳たぶを甘噛みしながら囁きかければコクコクと頷きが返ってきて、それに満足して再度深く口づけてからラストスパートと言わんばかりに激しく腰を打ちつけた。

「や、あぁ、あっ、あっ、あぁ―――っ!!」

「くっ…」

これで終わりだと大きく突きあげれば政宗は一際大きく啼いて欲を吐きだした。

元親も政宗が絶頂を迎えた時の締め付けで一気に白濁を中に叩きつける。

最後の一滴まで絞り出すようにして腰をゆるく前後に振ってからぐったりとベッドに身を沈める政宗の上になだれ込んだ。

優しく抱きしめて髪を梳いてやりながら幼いキスを顔中へと降らせる。

「チカ…」

甘えるように唇を突き出すものだから、赤く熟れた唇をゆるく食んでそっと重ね合わせた。

「お前は俺のモンだ…」

まどろみに身を委ねる政宗にもう一度囁いて、引き摺られる様にして元親も眠りに落ちたのだった。





――――翌日

「なぁ…元親」

「んぁ?」

「結局、なんで怒ってたんだ…?」

「な…っ!?!?」

こてんと小首を傾げて上目づかいに見上げてきた政宗に、元親が言葉を失ったのは言うまでもない。





鈍感にもほどがある!!




―END―

素敵なリクエストありがとうございました!!

もう、なんて言うかニヤニヤが止まりません…!

リクエストを頂いた瞬間からいろんなシチュエーションが浮かんでもう家族が引くぐらい(主に妹)のハイテンションで書かせていただきました!!

本当に書いていて楽しかったです(^^)

ただあんまり大学生感と学級会っぽさが出なかった点については申し訳ありません…精進いたしますorz

お気に召さなければ遠慮なくお申し付け下さいませ!!
書き直しいたします!!


政輝様のみお持ち帰りOKです。


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