白磁攻防戦
「夏だ海だバカンスだ!」
「と、そうなれば…!」
「伊達ちゃんの水着ー!」
「は、破廉恥…!」
と、言うことで。
BASAビーチへとやってきました!!
□白磁攻防戦□
「海でござるぅぁぁぁあああ!」
「いい恋日和だねぇ!」
「五月蠅いよ旦那!慶ちゃんにいたってはもう黙って!」
暑苦しく叫ぶ幸村を一括し、今にもナンパを始めそうな慶次には適当にツッコミを入れてせっせかとパラソルを立てシートを敷く。
何でみんな手伝ってくれないの、いじめなの?新手のいじめなの?とかなんとか佐助がひとりでぶつぶつと呟いていると、スッと日光が遮られて影が落ちた。
「手伝おうか?」
その陰の犯人は屈み込んで上目遣いに見上げてくる本日唯一の女の子、政宗だった。
病的なまでに白い肌に、それを隠すかのように羽織られた水色のパーカー。
スラリとしたしなやかな足がショートパンツ風の水着から伸びていてなんとも目に毒である。
出来ればそのパーカーの下も見てみたいだなんて、口が裂けても言えない。
「ありがとう!でももうすぐ終わるからいいよ!伊達ちゃんも遊んどいで…ってちょっと就ちゃん!!」
全てのセッティングを終えて大丈夫だと手を振ろうとして、あらびっくり。
緑色のジャージに身を包んだ元就に、視線だけで射殺せるのではないかと思うほどの双眸を向けられていた。
「我の政宗を口説くとは、気でも触れたか、猿飛。」
「いやいやいや!!伊達ちゃんは就ちゃんのモンじゃないから!!」
「たわけ!捨て駒風情が!」
「なにそれ酷い!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人にまたかと呆れにも似たため息をつく。もう慣れっこだ。
「じゃあお言葉に甘えて遊んでくるな」
苦笑混じりにそう言って立ち上がる。スラリとした足が目の前に映って再び胸が高鳴ったところで、彼女を呼ぶ声に一気に二人のテンションが下がった。
「政宗ー!」
「ちか!!」
パァッと顔を輝かせて呼ばれた方へと顔を向けた。そこには海パンに、政宗と揃いのパーカーを着た元親が立っていた。躊躇いもなく小走りに駆け寄っていく姿が映る。
くしゃりと撫でられた鳶色の髪がきらきらと太陽の光に反射して眩しかった。
「泳ぎにいくか!」
「Okay!!負けねぇからな!」
キラキラ(元親においてはデレデレ)と互いに一つしかない目を輝かせていることに、佐助は慌てて止めに入った。
「ちょっとちょっと!もしかして伊達ちゃん、日焼け止めも塗らずに海に入る気!?」
カンカン照りの今日、日焼け止めを塗らずに海水に入るなど、数時間後の惨劇が容易く予想できてしまう。
「せめて日焼け止め塗ってから!ね?」
「Ah…それもそうだな。」
しばし逡巡し、自分でも惨劇が思い浮かんだみたいでコクリと小さく頷いた。
パラソルの下へと移動してせっせかと日焼け止めを伸ばしていく。
その隣で元親も一緒に日焼け止めを伸ばしていた。
なんでも痛いのは嫌だとかで、普段はまさしく男って感じなのにこういう所は細かい。
人って本当に見かけによらないんだなぁって佐助がしみじみ感じていたとき、その隣に座る政宗が小さく唸った。
「んー…」
「どうした?」
すかさず聞き取った元親が政宗を見やる。
「ん、背中塗れなくてさ…」
恥ずかしさ半分、困った半分ぐらいの顔で言う彼女にそこにいたみんなが胸をときめかせた。そして、
「あぁ、そんじゃ「「「「俺が塗る!!」」」りまする!」
我先にと言わんばかりに挙手しながら身を乗り出した。
「へ?」
「俺が塗ってあげるよ!」
「何を言うか、この阿呆が!政宗、我が塗ってやろう。」
「ぬぅぁぁぁあああ!破廉恥でござるぞお二方!ここはそれがしg…ぐぅ!?」
「一番破廉恥なのはアンタでしょーが!鼻血拭いてよ!あ、日焼け止めは俺様が塗ってあg」
「何でそうなるんだよ!いいって!!」
若干みんなの態度に引きつつも身の危険を感じているのか慌てて元親の陰に隠れた。
「ちぇー、残念。」
「残念じゃねぇよ!」
「んじゃあここはいっちょ、みんなでビーチバレーと洒落込もうか!」
「「「さんせー!」」」
「何で急にそんな話がぶっ飛ぶんだよ!?」
「え?じゃあ政宗、日焼け止め塗らせてくれるの?」
「No!!」
「じゃあ決まり!」
なんとも強引な理由でビーチバレーをすることになりました。
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