部活を引退してまだ間もない日曜日、暇を持て余した私たちは自宅のリビング並んで侑士くんから借りた恋愛映画のDVDを見ていた。でも正直言ってあまり面白くない。どうやらそれは岳人も同じらしく、隣から大きな欠伸をする声が聞こえてきた。
そんな私たちを余所にテレビの中では主人公とヒロインが抱き合い口付けを交わしていた。所謂ハッピーエンドだ。だけど私の胸に広がるのはそれに反比例した虚無感ばかりで思わず溜め息が漏れる。

「なんで私たち双子に生まれちゃったんだろーね」
「…さぁな」
「さぁなってそれだけ?岳人は嫌じゃないの?双子だったら何もできないじゃん」

すると岳人は少しだけ眉を寄せて私の方を見た。またその話かとでも言いたそうな顔だ。確かに自分でも何度私たちが双子であることを嘆いたかは分からない。
双子じゃなかったらもっと恋人らしいことできたのに、なんて今更どうすることもできないことは分かってる。そもそも双子同士で恋愛することがおかしい、それも分かってる。だけど私は岳人が好きなのだ。岳人以外考えられないし考えたくもない。

「良いじゃん。周りに気付かれないようにすれば」
「いつまでもそんなの嫌だよ……それにお母さんたちだって怪しいって思い始めてる。バレたら引き離されちゃうよ」

血の繋がった私たちが愛し合っている、そんなこと周囲が認めてくれるわけがない。だから今まで気付かれないように細心の注意を払ってきた。そしてこれからも。
だけどそんな生活はもう散々だった。周囲の目なんて気にせずにもっと恋人らしいことがしたい。でもこの関係が知られたら私たちは無理矢理にでも引き離されるだろう。そんなの嫌だ。考えるだけでも恐ろしくて岳人に体を寄せる、すると岳人は私の気持ちを察したのかへらりと気の抜けた笑みを浮かべて私の肩を抱き寄せた。

「その時は逃げようぜ。誰も俺たちが双子だって知らない遠い街にさ」
「一緒に逃げてくれるの?」
「当たり前だろ」
「友達は?岳人、友達いっぱい居るじゃん…会えなくなってもいいの?」
「俺はお前が居ればいいし」

嬉しすぎて泣きそうになった。浮かぶ涙を必死に堪える。きっと今の私ってば凄く不細工な顔してるんだろうな。とてもそんな顔は見せられなくて岳人の胸に顔を埋める。照れ臭くてなかなか口に出しては言えないけど、好き。大好き。

「あ、それからお前が最初に言ってたやつの答えだけどさ」
「…ん?」
「生まれた時からずっと一緒に居る為に双子に生まれたんだよ。だからこれからもずっと一緒、な?」

言われなくても離れたりしないよ。私は迷うことなく頷いた。


」様に提出させて頂きました。ありがとうございました!



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