93 この心臓尽きるまで

 飛影が牛鬼蜘蛛と対峙する。鼻息を荒くし、まくし立てるような怒りの感情はこちらにもひしひしと伝わって来た。
 冷静さを失えば必ず隙が生まれ、こちらの勝算が上がる。

“牛鬼蜘蛛を崖先におびき寄せて、そのまま海に落とそう。鰐鮫達は海に入った妖怪は全て餌だと認知する習性があるから、きっと主である牛鬼蜘蛛が飛び込めば餌だと思うんだ。それに牛鬼蜘蛛の体内には毒がある。鰐鮫達も一緒に倒せるよ”

 先ほど潮が耳打ちしてくれた事は、流石は海に長らく住まう種族ならではの妙案だった。牛鬼蜘蛛だけを倒したとしても、鰐鮫の執着性は厄介であり、例え潮を海に解き放っても本末転倒になってしまう。その為、牛鬼蜘蛛を餌に見立てる必要があった。
 高さの低い崖先を選んだのは、鰐鮫が餌と認知する時間を短縮する為だ。身体が沈む深さが浅ければ食らいつく時間は早まる。牛鬼蜘蛛の戦意喪失もそれに比例するというわけだ。

 まずは、牛鬼蜘蛛の身体に渾身の一撃を喰らわせねば。飛影が腰を落とし、抜刀の構えを図る。狙うは、先ほど切り込みを入れた尻尾だ。
 飛影がジリジリと間合いを詰めると、牛鬼蜘蛛が頬を膨らませて溜め込んだ。
 ――来る。
 それを合図に飛影は再び地を蹴ると、牛鬼蜘蛛の口に溜まっていた毒が吐かれた。それも、飛影を追うように連続で吐き出され、その度に地面が焦げ細い煙を出す。だが、飛影は毒を全て避けて牛鬼蜘蛛に近付いて行った。
 跳躍して刀を大きく振り上げ、そして勢いよく下す。それを牛鬼蜘蛛の片足が防いだ。ギリギリ、と肉厚な前足が刀を止めるが、飛影も負けじと力を押し通す。
 やはり、前足を一本失ったくらいでは妖力は落ちないか。…だが、力で敵わずとも、素早さはこちらが勝る。
 飛影が刀で一度前足を振り払うと、至近距離で毒が吐かれた。それを柔軟に避け、牛鬼蜘蛛の背に着地すると高く跳躍し、刀の矛先を定めた。狙うは、尻尾の付け根だ。

「ひぃいいっっ!!」

 牛鬼蜘蛛が小さな悲鳴を上げると、尻尾の付け根は綺麗に切断され、そこから再び大量の血が勢いよく溢れ出た。飛影が地に着地すると同時に、その巨大な尾は重みのある音と共に落ちた。まだ身体と繋がっている感覚が残っているのか、尻尾だけが縦横無尽に動きを続けるが、力は次第に弱まりついには停止した。
 
「おのれぇ…!飛影…っ!!」

 どうやら尻尾の切断は致命傷を与えたらしい。牛鬼蜘蛛は先程よりも身体を保つバランスが歪み、フラフラしている。洞窟で見たあの汚らしい涎も今ではすっかり渇き、呼吸も苦しそうだ。だが、飛影はお構いなしに再び地を蹴り牛鬼蜘蛛の真正面から刀を振り上げた。先ほどと同じように片足で防がれたが、押しの強さはこちらが勝っている。
 まるで暗雲から一筋の光を見いだせかのようだ。飛影の真紅の瞳に力強さが灯り、眉根が上がる。

「――ッでやあああぁぁぁ!!」

 飛影が渾身の力を振り絞って刀を押しやり、牛鬼蜘蛛が一瞬バランスを崩した。その隙に素早く腹部と後ろ足、そして背部に刀で切り込みを入れる。先ほど尻尾を斬った時よりも遥かに上回る出血が傷から溢れだし、牛鬼蜘蛛の叫喚が再び辺りに響いた。
 飛影は刀を引き牛鬼蜘蛛の背後に素早く回ると、渾身の力を脚に込め思い切り蹴り上げた。牛鬼蜘蛛の巨体はバランスを崩し、ごろりと転がり崖の近くでようやく止まった。少々離れた場所には潮がいたが、この様子では手を出す余裕もないだろう。
 飛影が地を蹴り、潮の元まで戻って来た。

「すごいね、飛影。あっという間に倒しちゃった…」

 潮が思わず、感嘆の声を漏らす。

「まだ終わっていない。最後の大仕事が残っているだろう」

 飛影の言う通り、この巨体を海に落とさねばならない。先程の連続攻撃で力を発揮した飛影だが、呼吸が荒く肩で息をしている。ここ数か月森の中で修行を重ねたが、ここまで追い込むまで予想以上に力を使ってしまった。牛鬼蜘蛛が以前に増して力をつけていたので剣呑したが、どうにか大打撃を与えられたので一先ずは安心だ。現に、牛鬼蜘蛛からは先ほどの威勢の欠片は既になく、苦しそうな呼吸音が聞こえてくるだけだ。力強かった眼も虚空を捉え朦朧とし、血色も悪いので出血量も響いているに違いない。
 一拍程置くと、飛影は牛鬼蜘蛛の背後に回り再び刀を持った。…これで、全て終わる。そう確信していた。
 だが、その一方で潮はこの静けさに妙な違和感を感じていた。牛鬼蜘蛛は大打撃を受け、確かに体力は弱まっている。先ほど意識を読み取った際、攻撃を仕掛けてくる彼の声色はまるで地獄の底から聞こえてくるような不気味さがあった。それに比べ、今は彼の心の声が一切聞こえてこない。飛影に虚を衝かれてた今、悔しそうに目を剥くくらいの事はしそうなのに何故こうも静かなのだろうか。

「…飛影、ちょっと待って」

 潮が違和感に耐えられず声を掛けたが、飛影は怪訝な表情をした。「今更なんだ?」そんな声が聞こえてきそうな表情だったが、潮はこれを話すべきか迷った。
 何の確証もない憶測で、飛影の戦闘スタイルを止めるのもどうかと思ったのだ。戦いの場数は、格段に飛影の方が勝る。…それでも、心の中で悶々とした疑念が逡巡しており、上手く飲み込むことが出来ない。

「どうした。何かあるなら早く言え」
「…一つ、気になる事があって」

 このまま話すと牛鬼蜘蛛に聞こえる可能性がある。潮は飛影に小さく手招きをした。先ほど作戦を立てた時のように耳打ちするつもりだ。
 飛影が不承不承と再び潮の元へ歩み始める。潮が手招きをする最中、何気なく牛鬼蜘蛛に視線を向けると、彼の目尻が下がり、あの嫌らしい粘着質な笑みを見せた。牛鬼蜘蛛と視線が絡んだ潮の背が瞬く間に粟立ち、悪寒が全身に走る。
 その瞬間、己の第六感が激しく警鐘を鳴らした。

「―――飛影ッ、来ちゃだめ!!」

 潮が声を上げた瞬間、飛影の動きが一瞬止まった。その僅かな間に、飛影の右脹脛に激痛と熱が走り、それはまるで巨大な焼け火箸を押し当てられたような感覚だった。

「ぐっ…うぅう…!!?」

 気が付くと、飛影の脹脛には牛鬼蜘蛛の尻尾が刺さり、傷口からはぽたぽたと鮮血が流れ、地を染めていた。

「―――ッ!!」

 潮の瞳が大きく震え、思わず口元を手で覆った。今、目の前で何が起きているのか、これほどまで自分の目を疑った事はない。己の瞳に映る飛影の表情は歪み、突如襲われた痛みにどうにか耐えている。
 己の第六感が訴えたのは、この事だったのだ。牛鬼蜘蛛と視線が絡み、あの厭らしい笑みをわざと見せてきたのはこういう事だったのか、と今更合点したが、時は既に遅かった。道理で彼の意識から声が聞こえなかったわけだ。こちらが飛影に気を取られる隙を見て、攻撃を仕掛けてきたのだろう。

「チッ…ふざけた真似を…!」

 飛影は激痛に耐えながらも、脹脛に刺さる尻尾をどうにか引き抜き、近くへ投げ捨てた。「ぐあぁっ…クソッ…!」引き抜かれた傷口からは、とぷとぷと大量の血が流れついに右足膝が地に着いてしまう。激しい痛みと共に熱が生まれ、次第に傷口を中心にピリピリとした痺れが走った。
 最も危惧していた毒が回り始めていたのだ。

「くっくっく…。まんまと引っ掛かりやがったな…。ハァッ、ハァッ…これで、お相子だろう…」

 牛鬼蜘蛛が残った数本の足でなんとか立ち上がった。話しながら吐血し、身体をなんとか支えているようだが、表情にはどこか余裕を感じる。
 飛影の眉根が上がり、鋭い眼光が彼に向けられた。

「俺の遠いご先祖様はなぁ、…昔蜥蜴を喰って生きて来たんだ。ハァッ、ハァ…その名残で、切れた尻尾に残った妖力で一発かませられるってわけだ。自慢の足はもう使えねぇ。…ッ、てめぇみたいなクソガキに、俺様がそう簡単にやられるわけねぇだろう…!?」

 牛鬼蜘蛛も深く呼吸する最中、傷口から大量の血が度々流れている。飛影によって投げ捨てられた尾は、いよいよ微動せずピタリと動きを止めた。
 飛影は刀を支えにしてどうにか身体を起こしていた。今のところ、左足はなんとか動くが右足は完全に動きを封じれらた。痛みと熱、そして痺れによって微動するのも難しい。
 だが、ここで終わるなど己のプライドが許さない。飛影はより柄を握る力を強め、なんとか左足で立ち上がり上半身を上げた。その瞬間、胸部に激痛が広がり、まるで胃酸が逆流するような感覚が瞬く間に走った。

「ぐっ…ゲホッ、ゲホッ…!!?」

 思わず手で口を塞いだが、己の意思では止められなかった。掌にこびり付く鮮血の塊、口の中に広がる鉄の味。飛影の瞳が大きく震えると同時に、身体の内から込み上げてくる衝動が止まらなかった。何度も咳込んでは吐血し、掌が血に染まってゆく。一度立ち上がった飛影の膝が再び地に着き、刀の柄を握る指先にも痺れが渡った。そして腕が小刻みに震え、次第に指の関節の力が弱まり、ついには刀を落としてしまう。
 飛影の身体は徐々に蹲り、咳込む度に大きな震えが全身に走った。見悶える中、それでも眼力だけは劣りを見せず、冷徹な瞳で牛鬼蜘蛛を睨みつけている。
 牛鬼蜘蛛は夥しい量の血を流しつつも、ゆっくり、じわじわと飛影に近付いてゆく。

「飛影っ!!」

 案じた潮が思わず声を上げ、身を乗り出した。飛影の元へ向かおうと腕を出したのだ。

「来るな!!」

 だが、飛影の叫びによって潮の身体に大きな震えが走り、動きは止まった。その間、牛鬼蜘蛛はどんどん近づいてくる。

「ハァッ…ハァッ…。どうだ、…俺の毒、この間より美味いだろぉ…?テメェの身体は完全に支配されたんだぜ…!」
「ゲホッ…小癪な真似をッ…!ゲホッ、ゲホッ…」
「そりゃあ、コッチの台詞だぜ。…俺の身体に散々な事しやがってよ…ハァッ、ハァッ…。でも、もうこれで終わりだ…」

 牛鬼蜘蛛がいよいよ飛影と対峙した。

「ハァッハァッ…やっとテメェの息の根を止められるぜ…」
「ぐっ…ふざ、けやがって…ッゲホッ、!」
「苦しそうだなぁ、可哀想に。…でも安心しろ。俺がテメェの身体、骨一本残さず喰ってやるからなぁ。…そうしたら、今の苦しさから逃れられるぜェ…?」
「ゲホッ、ゲホ…。フン、…断る」
 
 飛影の下腹部に力が籠り、少しずつ上半身を上げた。猛毒が身体中に回っているにも関わらず、何故動ける?そんな疑念を抱く牛鬼蜘蛛は瞠目した。
 飛影は痺れや痛み、出血に苛まれながらも、再びゆっくりと立ち上がった。流石に直立立ちは出来ず、左足と刀を支えにやっとの事で立ち上がった様子だが、身体の芯は一切の揺らぎを見せない。

「はぁっ、はぁっ…誰が、貴様に…喰われると言った…。ゲホッ、…ッ俺は、まだ戦えるぜ…?」

 飛影の口元の両端が上がる。まるで挑発するような視線を投げ、悪戯な笑みを浮かべるその様に、牛鬼蜘蛛のこめかみに青筋が走った。

「…どの口がほざいてんだコラァ!!」

 牛鬼蜘蛛の前足が大きく振り上げられ、飛影の右脇腹に強い衝撃が走った。

「がっ、は…!!」

 飛ばされた飛影の身体は崖先へ転がり、あと数メートルのところでようやく止まった。粉塵が舞う地には、擦れた血痕が残っている。
 飛影は再び痛みと衝撃が走った右脇腹を抑え、思わず身体を屈ます。身体の内から込み上げる衝動は激しさを増し、咳込むとより多く吐血した。

「飛影っ…大丈夫!?今治してあげるからね…!」

 潮は居てもたってもいられず、器用に腕を使い飛影の元に来た。牛鬼蜘蛛はここへ来るまで多少の時間を要するので、今しかチャンスはない。
 潮は飛影の身体を仰向けにさせると、胸部に掌を翳し光を当て始めた。呼吸する度に胸部が上下する最中、咳き込みは止まらず吐血は続いている。全身傷だらけで血を吐き続けるその痛々しい様に潮の目頭は熱くなり、気付けば涙が頬を伝っていた。零れ落ちる涙は飛影の胸部に落ち、そして脇へと伝ってゆく。
 飛影は朦朧とする意識の中、胸部に当たる温かい光に気付き、無意識のうちに潮の手首を握った。潮の治癒術が一瞬止まる。

「飛影…?」
「こんな…事で…力を…使うな…。逃げ…ら、れ…なく…な…ゲホッ、ゲホッ…」
「―――ッ!!何言ってるの!?飛影が一緒じゃなきゃ、意味ないんだよ!?」
「…黙…れ…ゲホッ、言う事…聞…ゲホッ、ゲホッ…」
「嫌だ!!助けるって決めたんだからやめない!!」

 潮の掌が再び光が灯された。先ほどより光と熱の強さが増し、傷口の治癒が早まっている。潮の眉根が上がり、歯を食いしばりながら力を使い続けた。瞳はより多くの雫を生み、その蒼は麗しさを増している。
 ここまで身を挺して守ろうとしている飛影を見捨てるだなんて、…絶対に出来ない。必ず助けてみせる。
 その思いだけが呵責し術を使い続ける最中、二人にふと大きな黒い影が覆いかぶさり、潮は思わず顔を上げた。
 見やれば、牛鬼蜘蛛がこちらを見下ろしているではないか。再び潮の背筋が粟だった。

「ハァッ…ハァッ…。さぁ、ようやく食事の時間だァ…」

 牛鬼蜘蛛が舌なめずりすると、その大きな口からは大量の涎が垂れた。その粘着質な口調に相まって目尻を下げる厭らしい笑みは、身がよだつ程の寒気が走る。恐らく、牛鬼蜘蛛も深手を負っているので痛みが伴っているはずなのだが、それを上回る欲望が溢れているのだろう。潮を捉えるその大きな目玉はぎょろりと見開き酷く高揚している。血眼が走るそれに囚われては、潮の身体中に寒気が走り治癒術が止まってしまった。

「潮ちゃんよぉ…俺の血となり肉となる事を喜べよなぁ…。安心しろ。てめぇも、そして飛影も、み〜んな俺の腹の中に収めちまうからよぉ…!」
「…いっ、嫌…!」

 潮がかぶりを振り、表情が凍り付く。恐怖に塗れたその顔を目の当たりにした牛鬼蜘蛛は、より粘着質な笑みを見せた。

「ひひひひ…!いい顔するじゃねぇか…ハァッ、ハァ…。俺が怖いんだろう?喰われたくないんだろう?そうだよなぁ、お前の仲間も、み〜んな俺が喰っちまったんだからなぁ…!!」

 牛鬼蜘蛛が喉を鳴らしながら静かに笑い続ける。潮を追い詰める言葉を投げる度に、彼女の表情が刻々と曇ってゆく様が実に滑稽でやめられない。恐怖のどん底まで陥れ、その後に断末魔を上げながら己の胃に収める瞬間が堪らなく快感で、あれを得られるかと思うと興奮が抑えられないのだ。
 だが、その一方足元で横たわる飛影が何かを呟いている。牛鬼蜘蛛の視線が下に落ちた。

「この期に及んで何いってやがる?」
「…き…あいて…は…、俺…だ…」
「あぁ?」

 牛鬼蜘蛛が訝しんだ際、飛影の右手が潮の手に触れた。その瞬間、潮の脳裏に飛影の意識が伝わったのだ。弱り切った声で呟いたのは「今のうちに逃げろ」という一言。潮は思わず目を見張り飛影を一瞥したが、彼の視線は牛鬼蜘蛛を捉えたままだ。

「…ゲホッ、…き、…さま…の、あい、て…は、おれ、…ゲホッ、だ…」
「―――まだそんな事言えるのか!!だったらお望み通り殺してやる!!!」

 牛鬼蜘蛛の獰猛な叫びが辺りに響く。そして前足を大きく振り上げた。
 …この隙に潮が海に込み、彼女の水泳力に全てを賭けるしかない。長年海に住んできた人魚族なら、もしかしたら鰐鮫から逃れられる可能性もあるかもしれない。そんな確証の無い僅かな期待を、飛影は抱いていた。
 牛鬼蜘蛛の前足は、恐らく腹部に串刺しされる。認めたくないが、予想以上に毒が強く、そして回るのが早かった。今のままでは、甘かったのだ。
 朦朧とする意識の中、霞んだ視界に見えるのは潮の後ろ姿だった。

 もう一度、その背を抱きしめたかった。髪を撫でたかった。笑顔を見たかった。…共に生きたかった。
 氷河の国など、もうどうでもいい。彼女と二人で生きていけるのであれば、この世に生を受けたこの命にも多少の価値は生まれるだろうと信じていた。
 …潮を出会えたこの人生に、もう悔いはない。

 飛影の瞼がゆっくりと閉じられる。最後、僅かな視界で捉えたのは、振り向きざまに優しく微笑んだ潮の笑顔だった。それは、飛影が最も好んだ潮の表情だった。
 そして脳裏に誰かの声が静かに囁く。

“海のご加護を与えましょう”

 それは潮とは異なる女性の声だった。
 飛影が思わず目を見張ったその瞬間。潮は飛影の前に立ちはだかり両手を伸ばした。
 
 振り落とされた牛鬼蜘蛛の前足は、潮の腹部を貫通した。



次へ進む


戻る












×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -