005: 綾瀬 雪斗

005-7: mixed incubus × exorcist(祓魔師)

い……ッ!
(何もないはずの空間に、だが体に先行して伸ばした指先がびりっと静電気の何倍も鋭い痛みと閃光を伴って弾かれたのを見て、しばし絶句する。祓魔師の張った結界が作用した事実は自分にヒトでない者の血が流れていることを知らしめるも同義で、口元はぎこちなく笑むものの表情は弱りきって陰り、じんじんと熱傷のような痛みの残る手を半ば呆然と見つめていた瞳を、立ち塞がる祓魔師に向け。ほとんど度の入っていない眼鏡の奥で、夜を迎えてその虹彩は既に淫魔に特有の赤い色に変わっており)
あ、はは……効いちゃいましたね、困ったな……。僕、痛いのあんまり得意じゃなくて……って言ったら、優しく捕まえてくれます?
(結界から距離を取るように一歩横へとずれると降参を告げる代わりに手のひらを相手側に向けて両手それぞれを肩の辺りまで掲げ、しかし一方で目は相手と周囲の様子を探り、足先が移動する方向を定めるかのように僅かずつ動き)

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