005: 綾瀬 雪斗

005-6: mixed incubus × incubus/succubus(淫魔)

(一人暮らし用の小さなテーブルの上で白く蒸気を立てるマグカップの数は二つ、中身はどちらも市販品を溶かしたポタージュスープで、デフォルメされた楽しげな動物が多数デザインされた青いほうが自分のカップ、もう一方はこの家に転がり込んできた淫魔のために淹れたもの。まだ熱いポタージュを火傷しないようちびちびと少量ずつ飲み進めながら、広げたノートに貼り付けてあるレシートを確認し、今月の収支を書き込んでいき。今は母からの仕送りと長期休暇の際のバイトで貯めた分で生活費を賄っているが、精気の補給を疎かにすると増進してしまう食欲のために経済状況は決していいわけではなく、過去に書き溜めたページをぱらぱらとめくり、顔を曇らせて相手を一瞥し)
お互いの精気だけで何とかなったらいいんですけどね。永久機関的な。そうすれば安定した供給源が確保できて、他人様に迷惑をかけずに済むし、食費も……はあ。
(永久機関を表現するのに右手に持ったボールペンの先を宙でぐるぐる円環状に回し、空笑いを浮かべ。白い再生紙に引かれた罫線に沿って書き出した数字は、算出した生活費の合計とそこに占める食費の割合で、頭を抱え込むように項垂れると重苦しい溜め息を吐き出し)

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