001: シュティア・ホルン

001-5: incubus × exorcist(祓魔師)

(街も寝静まった夜遅く、根城にする廃ビルに戻る途上で嗅ぎ取った血の匂いに深夜の酔っ払いが引き起こした喧嘩かはたまた事件かと恐る恐る出所を辿ってみれば、繁華街の外れ、人目を避けるように物陰に蹲る人の姿を発見してぎょっとする。大丈夫ですか、と声を上げて側に駆け寄ろうとするも、しかし目についた相手の服装に踏み出しかけた一歩を思わず後ろに引き)
君……もしかして、祓魔師?
(以前交戦した祓魔師も着ていた、見覚えのある法衣。その時は戦闘で痛手を負うのみならず街から離れざるを得なかった苦い経験が去来して逡巡し、その場で何か縋るものを探して落ち着きなく周囲を見回し)
えっと、人を、いや、救急車? 救急車もまずいのかな……ど、どうしたら……。
(血の匂いがした以上はどこか怪我をしているはずで、そんな相手をここに捨て置くという選択肢は最初から存在しないが、そのせいで懊悩する羽目になり、ぐるぐる巡る思考をなぞるように指先が髪を掻き乱して情けなく呻き。とはいえ、いつまでも迷っているだけの猶予もなく、吹っ切るように大きくかぶりを振ると相手のもとに急ぎ走ってその身体を肩に担ぎ上げ)
……ああ、もう! 俺の住処が近いから、そこまで頑張って!

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