004: イヴェール・フラム

004-4: succubus × person F(女性)

紐……。なるほど、下着としての機能は失われているが、性交に際して手間は省けるな。
(ランジェリーショップの奥まった一角、いわゆるセクシーランジェリーと呼ばれる異性の視覚に訴えかけるような下着ばかりが並ぶコーナーで、目についたのは紐とパールの模造品で構成された商品。照れもなく平然と手に取り、もはや布地すら切り捨てて性的アピールに終始するその潔さに感心しつつ、隣で何やら唸っている彼女に目を遣り)
しかし、着るものがそこまで重要か? よく分からん。下着にではなく、お前に欲情するのだから、何を着ていても変わらぬと思うが。
(持っていた物を元の場所に戻し、他の商品も含めて眺め回すも自らの琴線に触れるようなものは特に見当たらず、無感動に首を捻る。この場に連れて来られたところで肌着について感興を抱いていない以上、同性としても異性としても有益なアドバイスはしようがなく、単に一人でここに足を運ぶ気恥ずかしさを紛らわす為に付き合わされたのならそれはそれでも構わないが、懸命に頭を悩ませている風な相手につと目を細めて腕を伸ばすと、彼女の顎を掴んでやや強引に下着から此方へと目を向かせ)
それとも人間のオスは違うのか。不可解だ。お前などはいつも食欲をそそるにおいがするのに。
(真正面からぶつかった視線に怯みもせず、此処が公共の場であることへの配慮も無しに、相手の顎に指を添わせたまま自分自身の発言を確かめるようにその首筋に鼻先を寄せ)

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