010: 風間 虎之介

010-2: person × exorcist(祓魔師)

(腰を抜かして座り込んだ自分の目の前で、見慣れぬ装束を纏った人とヒトではない何かが衝突し、その度に散る火花が路地裏の暗闇にちらつく。繰り広げられる戦闘の迫力にどうにも動く隙が見出せず、己を庇うように戦う名も知らぬ誰かの背後でオロオロするばかりだったが――彼らの間で均衡が崩れたらしい、一瞬にして視界を灼くような閃光が辺りを包んだ後、咄嗟に目を覆った腕を下ろしてみれば場にはもうヒトでないモノは存在しなかった。あまりに現実味のない光景を脳も心も処理しきれず、ぽかん、と口を開けて間の抜けた顔を晒し)
おお……す、凄いなあ! 映画みたいだ!
(子供みたいな感想に反し、どっこいしょ、と古式床しい掛け声で腰を上げ、アスファルトに触れていたジャージの汚れを払う。未だに現実感が追い付いて来ないのもあり、そうすると気安く相手の側に寄ってあちこち眺め回し、だがその中で先の争いによるものか服の部分部分が引き裂かれたり擦り切れたりしているのを発見して表情を曇らせ)
うわ、お前、怪我とか大丈夫か? なんか……よく分からんけど、俺を守ってくれたんだよな? ありがとな!

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