005: 綾瀬 雪斗

005-2: mixed incubus × outsider(人外)

お目覚めですか? あ、まだ横になっていたほうがいいですよ、多分。
(興味本位で上から覗いた顔は、己の影で覆ってしまったせいか血色悪く見えたものの、目線の先でタイミングよくゆるりと目蓋が震えて持ち上がり始めたのを見て取って安心したように微笑む。普段は寝室として使用している、畳だけは新しい四畳一間の和室に敷いた布団の上、手ずから運び込んで寝かせた相手がすぐにも身を起こそうとするのを口だけで制止し、腰を屈めて敷き布団の横に両膝をつき)
学校から帰ってきたら、あなたがこのアパートの前で倒れていたので……とりあえず僕の部屋に運んだんです。救急車なんか呼ばれたら、むしろ困るのではと思いまして。お節介でしたかね。
(自分もまた人ならざる者の血が流れている影響か、普通の人間と、そうでない者の区別は瞬時につく。今回も道端で意識を失って倒れ臥している相手を発見した瞬間にそれと悟り、僅かな逡巡こそあれ、放っておけずに自宅へと運び込んだ──まではいいが、突発的に起こした行動だけに後のことは考えておらず。制服姿のまま膝の上に手を置いて、ごくごく簡単に事の経緯説明だけ済ませてしまうと、相手の顔を見つめて首を傾げ)
それで、この後どうします? 問題なく動けるなら、出て行ってくださっても別に結構なんですが。

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