004: イヴェール・フラム

004-1: incubus/succubus × person(人間)

(照明の落ちた寝室。ベッドのかたわらに座り込み、とろとろと微睡む時間が次第に長く深くなっていく相手の様子を何を言うでもなくただじっと硬質な赤い瞳で眺めていたが、いよいよ眠りに就くとなって、夜のあいだ一人で過ごす淫魔のことがその心に引っかかったのか、相手の手が重たげに布団の中から這い出て自分へと伸ばされるのを目の当たりにすると睫毛の先を震わせながら伏せるようにして静かに目を細め)
……私のことはいい。寝ろ。おやすみ。
(シーツの波間を泳ぐ手を捕まえて軽く握り締めて、端的に言葉を紡ぐ口の端を、自分でもそうと知らぬうちに小さく持ち上げて淡い微笑を浮かべつつ、繋いだ手を自らのほうに引いて相手の手の甲に唇を押しつけ囁き)

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