011: 相馬 涼乃

011-11: person × friend(友人)

(朝の通勤通学ラッシュで混み合う満員電車から解放されてホームに降り立ったところで息つく間などあろうはずもなく、忙しく目的地を目指す人波に流される形で足早に階段を上がり、交通ICで改札を通り抜けたら駅を出るために今度は階段を下りていく。ここにも下りのエスカレーターが設置されたらいいのに、と通るたび抱く横着な感想を今朝もまた反芻しつつ、同じ制服を着た少女たちの隙間を縫って横に逸れた先で探すのは友人の姿。彼女はやはりいつもの場所に佇み、そうしていつもの時間に現れた自分をすぐ見つけてくれたらしい。視線がかち合ったのが分かって鞄を持つのとは逆の手を小さく振りつつ駆け寄って行き)
おはよ。今日は何だか……いつにもましてスカートが短くない?
(隣に並び、挨拶もそこそこに歩き出してふと、眼鏡越しの視線を向けた先は相手の足元。見慣れた日頃の姿と比較してすらりと伸びた脚の肌色の面積が多いような。ウエスト部分を折っているのか、はたまた変わったのはソックスやその他の箇所なのか、頭の中で記憶と重ね合わせて間違い探しをしながら、そもそもの原因を邪推してぽってりと厚みを持つ唇のもとに手を宛行うと思わせぶりにふふふと笑声を漏らし)
誰か好きな人の気でも引くの? そんなことしなくっても素材がいいのに。こんなに可愛い子でも涙ぐましい努力するんだもんなあ……。恋は魔物ってやつだね。

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