010: 風間 虎之介

010-9: person × ...

(ある休日の午後、薄日が差し込むリビングの窓際に屈み込んでガラスを磨く。熱心にごしごしと動かす手に握られているのは、雑巾ではなく新聞紙。横に新聞の残りとぬるま湯の入ったバケツ、それからゴミ袋が置かれ、濡らした新聞紙で拭いた場所をもう一枚の新聞紙で乾拭きしては、遠慮なく使い捨ててビニール袋の中へと押し込み)
う? うーん、読もうと思ったんだけどな〜。や、ちょっとは読んだぞ。ちょっとだけ。
(社会人として読んでおいたほうがいいかとほとんど思いつき同然で新聞を一部購入してみたのは先日のこと。しかし社会問題について一家言持っているわけでもなく、普段見ているネットニュースでも特段不足は感じていないし、録画中心のためテレビ欄もあまり用立たず、そもそも仕事関係の書類ならまだしも興味本位で広げただけの紙面にびっしり並んだ細かい文字を丁寧に追っていける性分ではなかった。自分に新聞は合わない――最初から薄々分かっていた根本的な事実をただ再確認するという結果に終わってしまい、残った新聞をどうしたものか、せっかく買った以上このまま捨てるより何か活用法があればとここでもインターネットに頼り、出てきた案が窓掃除。先にベランダへと出て外側の掃除を済ませた甲斐あってか汚れが見やすく、新聞紙でそれが綺麗に落ちていくのを嬉しそうに相手に示し)
これ? なんか検索したら掃除に使えるってあったから。ほらほら綺麗になってるだろー。久々に真面目に窓掃除するけど、やっぱピカピカになると気持ちいいなあ!

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