010-8: person × ...
じゃーん！ どうだ！
（意気揚々と親指で己を指し示し、きょとんとする相手を前にしばらく無駄なほどバリエーション豊かに様々なポーズを取り続けていたが、さすがに相手の反応が芳しくないことに気付いて一旦動きを止める。顔を見合わせ、先んじて相手から普段以上のテンションの高さを問われると、驚いたように口を開け）
えっ、何があったって……か、髪切ったんだけど！ 有名美容師のいるいつもよりお高めなトコ行ってみたんだけど！ え、ええ〜……！
（予約していた美容院に出向いたのは昨日のこと。ブランドショップが軒を連ねる大通りに店を構えたそこは、芸能人御用達だの凄腕美容師がどうのと度々メディアにも取り上げられており、特に髪型に強いこだわりがあるわけではないが、こうして今日相手と会うことが分かっていたので勇んで行ってきたのだった。施術が終わっていかがですかと問われた時にも、いいと思います！などと元気に答えて、それからずっと子供のようにワクワクしていたのに当の相手のリアクションの薄さと言ったら。大いに予想が外れ、がっくり肩を落とし）
もっと大胆なカットとアレンジを頼むべきだったかぁ……無念……。