005: 綾瀬 雪斗

005-8: mixed incubus × clergy(聖職者)

(聖堂の扉に手をかけ、それが抵抗なく動いたものだから、予想がついていたにもかかわらず意外そうに手元を見下ろして瞬き。というのも教会がどこも夜遅くまで開いているわけではないと知ったきっかけがここだったためで、平日であれば夕刻には閉めてしまうと聞いたこの教会が今夜はこうして開いている。そろそろと押し開けた扉の内側に見えた人影は相手一人だけ、どうやら行事があって開放しているのでもないらしく、身を滑り込ませたあとで今更ながらに扉をノックすれば静謐に満ちた聖堂内に思っていたより大きく音が響いてしまい、振り向いた相手に対して少々決まり悪く頭を下げ)
……こんばんは。いえ……少しお腹が空いて買い物に来たんですが、そしたらこちらに明かりが見えたので。珍しくまだ開いているんだなと思いまして。
(今し方の反省から声量は控えめに、片手にぶら下げたエコバッグを軽く掲げて見せ。本当は立ち寄った店からまっすぐ自宅アパートへ戻ろうとした時にこの教会の前は通らないのだが、今回店名がでかでかと載った袋を断ったのが幸いして言い訳には困らない。神聖な場所であえて偽りを言う罪悪感は多少なりとも感じつつ、自分はこれといった信仰を持ってはいないし、そもそも淫魔の血が半分入った身なので、教会にそぐわないなどと言い出せばそんなのは最初からそうだろう。身の上については相手も既知のこと、空腹で現れた淫魔のハーフに聖職者が何を連想したのか投げかけられた冗談っぽい言葉に、夜を迎えてすでに赤く変化した瞳を半眼にして呆れ顔を作り)
……違いますよ。この近くの店に用があったからついでに寄ってみたのであって、別に精気をもらいに来たんじゃありません。




*設定参考
設定はざっくりと「聖職者」なので、司祭でも修道者(シスターなど)でも兼業祓魔師でも大丈夫そうです。いっそ捻りまくって「聖堂の合鍵を預かっている信徒」でもアリかもしれない……?
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