006: メアルー・スル・オーランローズ

006-10/31: succubus × ...

今日はなんだか妙にお菓子をもらうの、何なのかしら……。人間たちがあたしの魅力に気付いたとか? それにしたって遅過ぎる感は否めないわね。
(その日、相手のもとへ戻ってきた時には当初なかったはずのお菓子を両手いっぱいに抱えて、しかしよくも悪くも大事に育てられた箱入りの淫魔に人間界の季節行事の知識があるわけもなく、今日がハロウィンであることも、自分の容姿や服装が仮装の一種と見なされ、あまつさえ幼げな顔立ちによって子供がイベントに参加したと思われてお菓子を恵まれたことも知らぬまま、木目調のテーブルの上にもらったものを並べていく。おばけやジャック・オー・ランタンをモチーフにしたアイシングクッキー、パンプキンパイ、カップケーキ、若干毒々しい色合いのロリポップキャンディーまで、もらえるだけもらって来たためそこそこ大量のお菓子を一通り広げたあとで頬に手を添えて小首を傾げ、相手に少し甘えるような、もっと具体的に言えば相手なら何とかしてくれるだろうと希望的観測を込めた眼差しを向け)
でも、くれるって言うから受け取っちゃったけど、人間の食べ物ってあたし苦手なのよね。味しないんだもの。……あなた、いる? いるでしょ? ふふん、日頃の労をねぎらうって意味で特別にこれを譲ってあげてもいいわよ。

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