013: ステラ・フルゴル

013-10/31: exorcist × ...

(10月30日の夕刻。明かりを灯したキッチンの、さして面積もないカウンターの上にキャンディーや一口サイズのチョコレートや個包装のクッキーなどを所狭しと広げ、それらを複数まとめて可愛らしいラッピング専用の小袋に詰めていく。小袋も、その口を留めるモールも、オレンジと黒を基調したハロウィンカラー。鼻歌混じりに体を左右に揺らしながら作業を進めているとキッチンへと顔を出した相手に声をかけられて目線を上げ)
これですか? 先生に頼まれて、明日はこれを持って養護施設に行くんです。ほら、ハロウィンですから。たくさん配りますよ!
(これまでにラッピングを済ませた小袋が収まった浅底のバスケットを足元から拾い上げ、相手に見えるよう自分の胸の高さに掲げてみせ。自らも幼少の一時をそういった施設で過ごしたためか、この機会に対する意気込みはひとしおで、籐で編まれたバスケットを置けばお菓子を詰める作業を再開する。熱心に小袋を量産し、広げたお菓子も残り僅かになったころ、ハロウィンのイベントで行く以上は何かしら仮装をして行くのか──と相手から投げかけられた素朴な疑問にぎくりと固まって決まり悪そうに明後日の方向に顔を背け)
仮装……仮装は……、うう、やっぱりして行ったほうが子供たちも喜ぶと思いますか? 個人的にはヒトじゃないモノの格好をするって、けっこう不本意ではあるんですけど……。ま、魔女の格好をするとか……?




*文中の「先生」は司祭でもある養父のことです。
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