マークのふわふわのブロンドの髪を撫でると、マークはとても気持ちよさそうに目を細めた。可愛いなぁと思いつつ私も頬が緩むのを感じる。
 すると、右隣からは規則正しい穏やかな寝息が聞こえた。どうやらディランは眠りに落ちてしまったようだ。


 さっきまで同じソファに身を沈めて、一つの毛布を三人で被ってさっきまで映画を見ていた私たち。名前が一番背が小さいから真ん中に座ってと二人に言われたのだけれど、両隣の二人がぎゅうぎゅうもたれ掛かってくるから、どんどん密着してしまう。「暑いよ」なんて言うと、ディランは悪戯っぽく笑ってもっとぎゅうぎゅう詰めてくる。マークはウトウトしていて「…ん?」と私の言葉を理解するのも難しいようだった。

 映画の内容はアクションものでおもしろかったのだが、たいそう長くてもう飽きてしまった。

 マークが頭をこてんと私の肩に乗せてたので、そんなに眠いのかと思い頭を撫でてやると、それが嬉しかったのか彼はふわりと微笑んだ。ディランはマークよりも早く私の肩に頭を乗せて眠っている。


「眠い」
「寝ていいよ。私も寝る」
「ん」


 そんな会話をするとマークが手を広げて私とディランを抱きしめた。そしてそのままぼすりとソファーに横になる。私は少し驚いてマークにしがみ付いてしまったが、ディランはそれでもすやすやと眠っている。


「名前は抱き心地がいいな」と呟いたマークに、「それって私が小さいってこと?」と尋ねてみると、彼は小さく頷いた。

「うん、可愛いよ」
「…そんなこと言ってほしいわけじゃないんだけどなぁ」

 寝ぼけているマークの素直な言葉に思わず頬が熱くなってしまった。ディランが眠っていてよかったとホッとするが、目の前にはマークの整った顔があって、それにも照れてしまう。
 そんな私をマークは少し不思議そうに見たけれど、首を傾げただけでぱたりと眠りに落ちてしまった。二人とも眠ってしまってまだ眠っていないのは私だけ。テレビの画面に目をやると、エンディングのクレジットが流れ始めている。

 二人とも眠ってしまったし、私も眠ってしまおうか。


「それはミーのリコリスだよ」


 そのときディランが寝言でそう呟いて、私の腰に腕を回してぎゅうっと抱きしめた。どうやら彼は夢の中のようだから、抱き枕だと認識されたのだろうか。さっきの寝言、きっと夢の中でディランはマークにリコリスを取られたんだろう。私はリコリスの独特の甘さが苦手だけれど、彼らがとても幸せそうにリコリスを食べているのを見るのは嫌いではない。それに、彼らの穏やかな寝顔を見ながら眠りにつくのも、嫌いじゃない。


「…おやすみなさい、二人とも」


 マークとディランの頬にそれぞれおやすみのキスをして、私もまた眠りに落ちた。


1002/Hush, little babies
夏目さま
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