「おいダメツナ。そのいつにも増してだらしねー顔はどうにかならねぇのか」

「あ、リボーン」

「その様子だと、相当参ってるみてぇだな」

ハッ、と鼻で笑ってみせるリボーンに、綱吉はきょとんとした表情をつくる。しかしすぐに「あぁ…、違う違う」と言ってヒラヒラと手を振った。苦笑とも微笑ともとれるような、へにゃりとした笑みを浮かべる綱吉に、リボーンは怪訝そうな目を向ける。

「オレ、“お義父さん”だよ? あんなに可愛い娘をこの歳で持てるなんて、幸せなマフィアだよね」

「………お前、それ本気で言ってんのか」

「冗談を言ったつもりは、ないよ」

部屋の戸口に立っているリボーンを見返して、綱吉がはっきりと言い放った。瞳に迷いの色はなく、もう誰がどう反論しても綱吉の意志が変わらないということは明白だった。リボーンは舌打ちを一つして、くるりと身を翻す。立ち去ろうとするその背中を綱吉が呼び止める。リボーンは振り返らずに、ただ「何だ」と返した。

「きっとあの子は色んなことを齎してくれる。いいことも、悪いことも」

「それは、超直感か」

「…どうだろう、分からない。ただのオレの思い違いかもしれない」

そうは言いながらも、綱吉がそのことを確信しているのだろうと、リボーンは思った。
―――――それならば、自分が口を出すまでもない。

「そうか」

殺し屋は、猫のようにするりと廊下の向こうに消えていった。

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