才能のあるものとそうでないもの
それはどこで分けられるのか
俺は基本インドアだし、魚が触れなければ料理もできない。出来ることといえば、やはり書道だけだろうか。しかしその書道さえ、平凡だと、つまらないものだと否定された俺は。
なのに、器用な年下のこの男は俺に比べれば野球も海遊びも上手い。魚だって綺麗に捌ければ料理もできる。なのに、自分は平凡でなにもないなどと思い込んでいる。
『努力できるのが一番の才能だな』
その一言が、どんなに嬉しかったか。努力をみてくれる人がいることがどんなに嬉しかったか。
認められたいと願うならその分の努力も必要だ。
平凡だと嘆くお前が努力が才能だと言うのなら、その道すら見えていくだろう。
幼いころから毎日のように書道だけを見て生きてきた俺にとって、お前ほど眩しいものはないのに。
羞恥からか、顔を覆っていた手を取りゆっくりと口元に寄せた
べろり、掌に舌を這わせればさらに強く目を瞑る顔を見ながら順に、指の一本一本を余すことなく綺麗に舐める
この手は生命を捌いては命を生かしていく
そうして俺も生かされていくのだろう
あぁそういえば腹が空いたな
人の評価で自信のなくなった清×料理人の才能か開いていくヒロ