!天京要素あり 「ねえ天馬、僕天馬のことが好きだよ」 「ありがと太陽、俺も好き」 にこっ、と爽やかな笑顔で返された。 つまんないの。ベッドにぼふん、と寝転がる。 天馬はみんなにこうだからなあ。 でも、剣城に対しては心の底から嬉しそうに笑って、顔を真っ赤にするんだから恋って不思議だ。 「…天馬、恋ってなに?」 ふと思いついた問いを投げかけたら、天馬は首をかしげた。 「うーん…なにって言われても、言葉じゃ上手く言えないよ。俺の場合は、相手のことを見たり考えたりしただけで一喜一憂するのがそうかな、とは思ってるけど」 「一喜一憂、かあ…」 僕は今までずっと、自分は天馬が大好きだって、一番だって思ってた。 これが恋なんだって。 でも最近、それがぐらぐら揺れてきて…。 ……天馬に会って、話して、楽しいとか嬉しいとかならいくらでも思うのに……苦しいとかつらいとか、思ったことない。 剣城と一緒に居るの見たって、嫉妬とか、全然しない。 むしろ、そうなるのは。 「松風」 低い声が考えを遮った。 特徴的な制服。剣城だ。 飼い主から呼ばれた犬みたいに、天馬はばっと剣城に駆け寄る。 その横顔は幸せそうで、嬉しそうで。 「……わかんないや…」 「何が?」 「わっ!?」 はあ、と溜め息をついたら、そう返されて顔を覗きこまれる。 「ゆ、優一さん…」 整った顔には、穏やかな笑顔が浮かんでる。 どきっと心臓が鳴った。 そう、僕がそうなるのはこの人なのだ。 顔が近いとどきどきする。誰か他の人といると、もやもやする。 何なのかなって思ってたけど…これが、恋……? 「驚かせちゃった?ごめんね」 「い、いや…」 「で、何が分からないの?」 優一さんは意外と押しが強い。 そしてにこにこ笑いながら痛いところを突いてきたりして、ちょっと怖い。 「恋、って、何なのかなって」 「恋、かあ…」 まばたきを数回して、優一さんはんー、と唸る。 細くて長い手を口元に持っていって、考える姿は絵になる。 優一さん、女の子にも人気だしな…。 ずきんと胸が傷んだ。 目を背けるように、あわててかぶりを振った。 優一さんが手を戻し、微笑む。 「恋は、理屈じゃないんだよ」 何なのかな、なんて考えてる暇もなく、落ちるときにはすぐ落ちちゃうんだ。 言い終わるとふふ、と笑って、僕の頭を優しく撫でた。 優一さんはよく頭を撫でる。 癖なんだろうか。剣城もよくやられてるけど、止めたりはしてない。 まあ、剣城は優一さんに甘いから。 ていうか、お互いがお互いに甘いんだ。 ほんとに仲良いな、って思って、一人っ子の僕はちょっと羨ましい。 その後天馬と一緒に、剣城も優一さんも病室を出ていった。 一人、静かな部屋で考える。 ――恋、って。 相手次第で嬉しかったり悲しかったりで、落ちるときにはすぐ落ちちゃって、理屈じゃない。 わかんない、よ。 でも、なんで、こんなに心臓がうるさいんだろう。 僕、やっぱり優一さんのこと……。 手が触れた箇所に触る。 どうしようもなくどきどきした。 相互記念文として一樹さんに捧げます! ありがとうございました^^* tnx/変身 |